宮城のニュース

<手腕点検>慎重さと手堅さに評価

訪れた進出企業関係者と懇談する浅野町長=昨年12月、大和町役場

◎2016宮城の市町村長(25)大和町 浅野元町長

 1999年に45歳で初当選した大和町の浅野元町長(62)は、無投票3回を含め当選5回と県内の首長で最多選。鈴木勝雄利府町長(72)に並ぶ。
 そのベテラン首長の評価を住民に尋ねると、「手堅い。まじめ」「何もしない。平凡」と二つに割れる。

<対話重視を貫く>
 町中心部の吉岡地区で江戸末期から続く老舗商家の生まれ。父・故多一郎氏も町長を4期務め、就任当初は「お坊ちゃま」とやゆされたが、町議会の馬場久雄議長(68)は「若い頃から対話を重視してきた。議会対策もそつがなく、慎重で堅実。根回しが上手だから今がある」と評価する。
 周到な根回しは昨年末、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理問題でも発揮された。
 県が提案した汚染廃棄物の全県一斉処理と試験焼却案。浅野町長は回答期限の12月27日の市町村長会議までに説明会を4度開き、住民の一任を取り付けた。町議会にも「全県一斉であれば加わらないわけにはいかない」と受け入れに理解を求めた上で会議に臨んだ。
 町議会への表明は会議当日の午前。態度を明確にしないまま出席した首長もいる中で、「筋を通した」と評価を上げた。
 「積極的に前に出るタイプではないことは認める。でも動く時は動く」と自己分析する浅野町長。後援会幹部も「企業誘致や行財政改革などやることはやっている」と実績を認めつつ、「成果を語らないから『何もしない』との誤解を生む」とも語る。

<ブームに乗れず>
 ただ、誤解と言い切れない部分もある。昨年公開された映画「殿、利息でござる!」。藩制時代に町であった史実を基にし、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(ANA、東北高出)らが出演するなど話題性は抜群だった。だが、町は観光案内所を設置したものの、関係団体との連携が機能しなかった。リーダーシップを発揮しての観光ブームは作り出せなかった。
 町では職員の不祥事が続く。酒気帯び運転や職務怠慢などで処分された町職員は、14年以降判明分で6人。若手町議は「町役場はぬるま湯体質。町長の指導力や発信力の弱さが町の危機感の乏しさにつながっている」と批判する。
 町の人口(昨年12月末)は2万8686で、周辺の企業誘致などにより、増加率は東北の市町村でトップ。浅野町長は「今後は子育て支援や定住促進、町内の人口格差是正などに注力する」と意欲を見せる。2015年国勢調査で前回10年からの増加率は13.5%で全国でも3位。それだけに厳しい視線が向けられる。
 「町は周囲がうらやむ好機にある。町長はもっと積極的になってもいいのではないか」と、くろかわ商工会(大和町)の大川明雄会長(70)。さらなるリーダーシップを求める声は強い。(泉支局・北條哲広)


関連ページ: 宮城 政治・行政

2017年01月22日日曜日


先頭に戻る