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津波被災の三陸の植物標本 修復し後世に

被災した植物標本を修復する岩手県立博物館の職員

 岩手県陸前高田市立博物館が所蔵し、東日本大震災の津波で被災した植物標本の修復作業が大詰めを迎えている。岩手県立博物館(盛岡市)が全国29の関係機関と連携して取り組み、これまで全体の9割以上に当たる約7800点を修復した。学芸員らは「津波で変化した三陸の植生を伝える貴重な資料を後世に残したい」と話す。
 津波で2階まで浸水した陸前高田市立博物館は、明治後期から震災直前にかけて三陸沿岸で採取した植物標本約1万5000点を所蔵していた。
 標本の流失はほとんどなかったが、カバーで覆わずに保管していた約8000点は海水と泥にまみれてカビが生えた。
 県立博物館の職員らは2011年4〜5月、現地で標本を回収。同館の作業員8人に加え、無償で協力に応じた全国29の博物館や大学にも標本を郵送し、修復を進めてきた。
 標本は押しつぶして乾燥させた植物を台紙に張り付ける「押し葉標本」で、植物を台紙から剥がし、筆で泥やカビを取り除いて修復する。丸1日乾燥させた後、新しい台紙に張り直して完了する。
 修復した標本には、いずれも1930〜40年代に岩手県で絶滅した海浜植物ハマゴウ、寄生植物マメダオシといった希少種が含まれる。環境省の準絶滅危惧種に指定されている多年草マルミノシバナもある。
 津波で壊滅的な被害が出た高田松原で、1900年から震災直前にかけて採取した標本も336点ある。津波や防潮堤建設による環境の変化で、現在は全てが姿を消したという。
 県立博物館の鈴木まほろ専門学芸員(43)は「歴史ある貴重な標本ばかりで、震災による植生の変化を探る研究に役立つ。震災前の三陸の姿を伝える資料としても、市民に早くお見せしたい」と話す。
 陸前高田市立博物館は2018年度中に再建予定で、標本はそれまで県立博物館で保管する。


2017年01月26日木曜日


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