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<E番ノート>西武渡辺 移籍の岸の背中押す

自主トレでノックを受ける西武・渡辺=17日
西武のファン感謝イベントで、ファンとタッチを交わす岸。渡辺の言葉に促され、参加を決めた

 本格的な球春が近づくと、今季も健在か気になるベテラン選手が何人かいる。かつての東北楽天を支えた功労者ならなおのこと。新人の2007年から正遊撃手として4季活躍し、09年に初のクライマックスシリーズ進出に貢献した渡辺直人内野手(西武)は、今年37歳になる。

<衰え知らぬ意欲>
 プロ11年目の渡辺は22日まで、千葉県館山市で自主トレーニングをした。東北楽天で同僚だった井野卓捕手(ヤクルト)らと一緒。走り込みで両脚が張っていても、内野ノックでは機敏な動きを見せた。「まだまだ守れるでしょ」
 10年12月にチーム事情から金銭トレードで横浜(現DeNA)に移った。11年、二塁手に定着して当時のKスタ宮城であったオールスター戦に出場した。13年途中に西武に移籍した後はベンチを温めることが増えたが、内野全てを守れる器用さと、状況に応じた巧打にベテランの味がある。昨季も70試合出場ながら打率3割9厘を記録した。「最低、昨年並みの働きはしたい」と意欲は衰えない。
 東北楽天の若手のリーダー格だった渡辺の電撃的な移籍が決まった際、新選手会長の嶋ら3選手が契約更改後の記者会見で泣いて別れを惜しんだ。記憶に刻まれているファンは多いだろう。
 西武から東北楽天にフリーエージェント(FA)移籍を決めた岸は昨年11月23日、西武プリンスドームであったファン感謝イベントに出て、ファンにお礼の言葉を述べた。退団することで批判にさらされることも覚悟していた。もともと参加する考えだったが、気持ちに踏ん切りがつかない部分もあった。背中を押したのが渡辺だった。

<6年前の心残り>
 イベントの半月前、渡辺が親しくしていた岸と本拠地周辺のロードワークに出ると、「移籍を決めました」と明かされた。FA交渉直前で渡辺が慰留できる余地はなかったが、岸から相談された。
 「退団する自分が(感謝イベントに)参加していいのでしょうか」
 「いなくなるのは俺だってさみしいが、お前が決めたこと。それならば、世話になった方々やファンにはきちんと感謝をしなくてはいけないよ」
 渡辺は諭した。6年前、突然の移籍で周囲に十分にあいさつする余裕がなかった時の心残りが頭をよぎったのだろう。この言葉に促され、岸は行事に出てファンに別れを告げ、温かく送り出された。
 それから2カ月が過ぎた。館山市の渡辺の練習場所に、近くで自主トレ中の岸が訪れた。新年のあいさつを済ませた後、渡辺は「やっぱりさみしいな。難敵ができちゃった」と苦笑い。「でも勝負どころではしっかり打つ」と再び練習に励んだ。(金野正之)


2017年01月27日金曜日


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