山形のニュース

<原発避難>新天地 香り豊かに夫婦で一歩

コーヒー豆の焙煎具合を確認する菅原さん夫婦

 東京電力福島第1原発事故のため、福島県郡山市から山形県南陽市へ自主避難し、山形県新庄市に昨年引っ越した菅原健児さん(50)、清子さん(45)夫婦が、同市上金沢町で自家焙煎(ばいせん)したコーヒー豆を販売する店を開く準備を進めている。新庄市は清子さんの古里。2人は「地元の人にコーヒーの魅力を伝えたい」と張り切っている。
 28日に開く店の名は「自家焙煎珈琲(コーヒー)の店bino(ビノ)」。健児さんの好きな双眼鏡を意味する英単語ビノキュラーズから採った。清子さんの実家を改装し、夫婦が特別注文した焙煎機を設置。中南米産を中心に8〜10種類のコーヒー豆を販売する。
 (1)手作業で生豆を1粒ずつ選別(2)豆の芯まで火が通る本来のいり方(3)焙煎した豆の新鮮さ−という基本の3点を徹底する。健児さんは「お客さまの好みに合う豆を、一緒に探す手伝いをしたい」と言う。
 2人は原発事故前、郡山市で暮らしていた。福島県猪苗代町出身の健児さんは前の職場を辞めて新規事業の準備中で、清子さんは県立高校の教諭だった。
 事故後、周囲の除染はなかなか進まなかった。保育所に通う6歳と3歳の娘2人への影響を考え、2011年9月、職場に新幹線で通える南陽市に自主避難した。
 清子さんは「幼い子どものことが気掛かりだったが、慣れない土地で暮らし、家を早くに出て夜遅くに帰るという生活はきつく、心に余裕のある生き方ではなかった」と振り返る。
 夫婦は、2人が好きなことを仕事にしようと決意。自家焙煎したコーヒー豆を売る店を開くことにした。
 清子さんは13年3月に退職。翌月から南陽市の社会福祉協議会で働きながら、東京の有名な喫茶店に足しげく通い、焙煎の仕方を学んだ。
 店を新庄市で開くことを決め、昨年4月に住民票を移して開店準備に励む2人。「まだよちよち歩きの段階だが、ここまで来られた。腰を落ち着けて、一歩ずつ進みたい」と前を向く。


2017年01月27日金曜日


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