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河川氾濫対策へ ダム事前放流に注目

豪雨被害の防止対策として、吉田川の下流住民が事前放流の導入を求めている南川ダム=宮城県大和町

 豪雨で河川が氾濫する危険性を軽減するため、ダムの事前放流が注目を集めている。豪雨が予想される際にダムの水位をあらかじめ下げ、貯水可能な容量を多く確保する。気象観測の体制、下流域の住民や自治体の理解など課題はあるが、専門家は「大雨被害が増えており、積極的に取り組むべきだ」と指摘する。(報道部・片桐大介)
 東北地方整備局は、国が管理する東北の17ダムで事前放流が可能かどうか検討に着手した。全国では国と水資源管理機構が管理する13ダムでルールを定めて運用している。同整備局河川管理課は「未曽有の雨が増えている。洪水防止効果はあると考える」と話す。
 山口県は昨年度、県管理7ダムで事前放流を行うシステムを構築した。システムを発動する豪雨は発生していないが、48時間以内に放流できる体制を整えた。
 2015年9月の関東・東北豪雨では宮城県大和町の吉田川が氾濫、流域一帯が浸水した。住民らで組織する吉田川水害対策協議会は、県が管理する上流の南川ダム(大和町)で事前放流を要望している。吉川正憲会長は「災害を防ぐため実施してほしい」と話す。
 事前放流は、一時的に増水する下流への注意喚起が欠かせない。利水量の増減に関わるため、農家や自治体などの了解も必要になる。県は「豪雨予測が外れて十分な雨が降らなければ、渇水につながる恐れもある」(河川課)と懸念し、導入には消極的だ。
 県は代替案として、台風シーズンに水位を常に一定程度下げる弾力的運用を検討。水田に大量の水を必要としない時期なら可能と判断し、豪雨予測ごとの放流には慎重な立場を取る。
 東北大大学院工学研究科の風間聡教授(河川工学)は「気象予測技術は向上し、3時間前の豪雨予測は可能。空振りしない確率は高まっている」と指摘。「流域で複数のダムを有効に活用し、集中管理するシステムの構築を考えるべきだ」と主張している。

[事前放流]水道や農地に使う利水容量分を、豪雨が予想される数日〜数時間前に空けて貯水可能量を確保し、降雨で利水容量を回復する仕組み。豪雨時にダムが満水になり、流入した雨が下流に流れて洪水被害が起きる事態を防ぐ。


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2017年01月28日土曜日


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