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<手腕点検>率先垂範のかじ取り役

消防団の出初め式で、児童に話し掛ける佐藤市長。「子ども好き」で知られる=8日、塩釜市のマリンゲート塩釜

◎2017宮城の市町村長(26)塩釜市 佐藤昭市長

 大型の台風10号が東北の太平洋側に近づいていた昨年8月30日。宮城県塩釜市の防災無線から響いたのは、佐藤昭市長(74)の声だった。
 「これまで経験したことのない勢力で上陸する見通しです」「早めの行動で安全確保を」。緊迫した状況を市民に伝えた。

<異例の防災放送>
 市長自らが防災無線で警戒を呼び掛ける異例の対応。東日本大震災で津波が襲来したとき、なぜ、自分の声で避難を呼び掛けなかったのか。そう悔やみ続けていた故の行動だった。
 「人任せにしない」「率先垂範」。周囲の評は一致する。県職員時代から土木分野に精通。事業を進める際は裏付けとなる数字、経緯など詳細な説明を部下に求める。市議会の香取嗣雄議長(73)は「全て自分が決めないと気が済まない頑固な面はあるが、船頭は厳しさがあった方がいい」とその姿勢を認める。
 佐藤氏は2003年の市長選で初当選し、現在4期目。3期目までは最優先事項が決まっていた。一つは「第二の夕張になる」と危惧された財政の立て直し。06年度から3年連続で職員のボーナス削減を断行、職員も約200人減らした。
 もう一つは、市域の22%が浸水した震災の復旧復興。災害公営住宅の建設の遅れなど誤算はあったが津波避難デッキは完成し、新魚市場は今年秋にグランドオープンを迎える。塩釜商工会議所の桑原茂会頭(63)は「市長自身の国や県とのパイプを生かし、さまざまな制度を使った。ハード面は目に見えて成果を上げている」と評価する。

<課題はソフト面>
 難局での手堅い市政運営で評価を得た一方、「物足りない」との声が上がるのがソフト面の展開。桑原会頭も「水産加工業の販路拡大、商業や観光の再生と課題は多い」と指摘する。
 「良い悪いは別にして、今の佐藤市政にはカラーがない」。元市幹部の山本進市議(68)は見る。「塩釜をどのような街にしたいのか、市長なりの具体的なビジョンを示してもらいたい」と注文する。
 端的な例が、塩釜神社が所有する江戸期の旧書院「勝画楼」の解体問題だ。
 昨年の市議会12月定例会。議員が一般質問で「勝画楼を保存すれば、市長の4期16年のレガシー(遺産)になる。覚悟を聞かせてほしい」と政治判断を迫った。佐藤氏は「私というより多くの市民にどういう意見があるか、広く確認したい」と述べるにとどまった。
 「神社側との交渉、費用など難題が多いからこそ、市のトップの判断一つなのだが、意思が伝わってこない」。議員の1人は、石橋をたたいて渡るような答弁を残念がる。
 「広報しおがま」1月号の新春座談会で、佐藤市長は「10年、50年、100年先の歴史に耐えられるような『まち』にしたい」と抱負を語った。4期目折り返しとなる今年、その視座と本気度が問われている。
(塩釜支局・山野公寛)


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2017年01月29日日曜日


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