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<里浜写景>泣く子を戒め無病息災願う

荒々しい声を上げながら迫ってくるスネカに、幼子はおびえた表情を見せた

 夜のとばりが降りたころ、玄関戸がガタガタと揺らされた。「言うこときかねぇ、わらしはいねえが」。声を荒らげながら、男たちが家に上がり込んだ。
 鬼とも獅子ともつかない奇怪な面をかぶり、みのをまとっている。幼い子どもは母親に抱き付き、震え上がった。
 岩手県大船渡市三陸町の吉浜地区に伝わる小正月行事「スネカ」。集落の家々を回る男たちは怠け者や泣き虫を戒め、子どもの健やかな成長を願う。
 スネカに諭された2歳の男の子は目を赤くして「約束はちゃんと守る」と両親に伝えた。父親は「おしっこをしたい時はきちんと教えろと言われたようだ」と優しい笑みを浮かべた。
 「住民の心が一つになる大切な風習。これからも絶やさないようにしていきたい」と吉浜スネカ保存会の柏崎久喜会長(67)。浜に新春を告げ、繁栄ももたらすと、あがめられている。

(文と写真 写真部・庄子徳通)


[メ モ]
スネカは、いろりで暖を取る怠け者のすねにできた斑点を剥ぎ取るという意味に由来する。200年近い歴史があるとされ、今年は19人が400軒ほどの民家などを回った。2004年に国の重要無形民俗文化財に指定された。


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2017年01月29日日曜日


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