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<この人このまち>起業家核に共同体形成

林篤志(はやし・あつし)1985年愛知県一宮市生まれ。豊田工業高専卒。システム会社勤務を経て学びの場「土佐山アカデミー」(高知市)などの創設に携わる。遠野市移住後の2016年5月に「Next Commons」を設立。

 岩手県遠野市で昨年、国の地域おこし協力隊制度を活用する起業家育成事業が始まった。同市の運営会社「Next Commons(ネクストコモンズ)」代表取締役の林篤志さん(31)は2020年に全国100カ所に拠点を設け、起業家1000人を育てる目標を掲げる。事業を通じて新たな社会の姿を描き出そうと情熱を燃やす。(釜石支局・東野滋)

◎Next Commons代表取締役 林 篤志さん(31)

 −事業の仕組みと現状を教えてください。
 「全国から人材を募集し、年最大400万円支給される地域おこし協力隊員の活動費を使って起業を支援します。遠野では特産のホップ、どぶろくに代表される発酵技術などに着目した10プロジェクトに487人から問い合わせがありました。隊員9人を採用し本格的に動きだしました」
 「ネクストコモンズ・ラボの事業名で、地域活性化を図る自治体の協力を得ながら全国に展開します。商品やサービスの開発を目指す企業とも連携し、出資を受けます。既に宮城県南三陸町や奈良県の奥大和地域、石川県加賀市での実施が決まりました。将来は拠点間で人や資金、情報を行き来させます」

 −拠点を広げる際に心掛けていることは。
 「その土地に固有の資源や文化を生かしたプロジェクトを設定することです。それらを外部の人材の技術で豊かにすると同時に、他地域にも応用できる成果を生み出し、社会的課題の解決に貢献していきます。受け入れてくれる地域の住民とコミュニティーを尊敬する気持ちも欠かせません」

 −起業家1000人誕生がゴールではないですね。
 「仕事や居住の選択肢を増やし、誰もが自分の能力を発揮しながら自由に生きられる社会を創るのが最大の目的です。価値観を共有する各地の起業家が核となります。ネットワーク化された各拠点を中心に周囲の人々と緩やかにつながり、新たな共同体を形成します」
 「共同体では交換や共有によるお金だけを手段としない経済を導入します。教育や医療、エネルギーの在り方を含む理想の未来像を議論し、実践していきます。国家や資本主義経済を否定するのではなく、拠点同士が織り成す層を上に重ね、補完するイメージです」

 −ラボ(研究所)の名前通り実験的で、壮大な挑戦ですね。
 「採用説明会には大勢の若者が訪れます。世の中に行き詰まりを感じ、転換を求める流れが確実にあります。待っていても新しい社会は到来しない。ならば自分の手で創り出せると信じ、全力で取り組んでいくだけです」


関連ページ: 岩手 社会

2017年01月30日月曜日


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