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<仙台市予算案>「ポスト復興」に重点

 仙台市の2017年度当初予算案は、東日本大震災への対応で後手に回っていた人口減少社会への取り組みを本格化させ、まちの住みよさや魅力を高める施策に重きを置いた。「ポスト復興」への傾斜を強く印象づけるとともに、8月に2期目の任期が満了する奥山恵美子市長の「その先」への意欲が色濃くにじむ。

 まちづくり関連は、外向きと内向きの視線を戦略的に絡めた。「外」は前年度に引き続き観光振興を重点化し、東北連携、仙山連携を前面に打ち出して交流人口の拡大を目指す。定禅寺通活性化推進事業は、道路空間の大規模な作り替えも視野に市中心部に人の流れを呼び込み、定禅寺通を名実ともに仙台の「顔」にする狙いがある。
 「内」は子どもの貧困対策や保育支援、幼児教育支援に新規事業を数多く盛り込んで育児環境を整備するほか、起業促進や成長が見込めるITビジネス創出への支援拡充、UIJターンイベントへの初出展なども実施。20年ごろに始まるとされる市の人口減を見据えた「人の囲い込み」が顕著に表れた。
 財政調整基金をほぼ使い切って予算を組む状況は、今回も変わらなかった。17年度に市立学校の教職員給与負担が県から移管されるため人件費が膨らみ、高齢化に伴う扶助費の増加も続く。義務的経費の伸びは財政の硬直化を進めたとも言え、その代償に足る恩恵を受けているとの実感を市民が抱けるかが問われる。
 投資的経費がピーク時(12年度)の半分近くまで減る中、施策の「空振り」が許される余地はほとんど無い。多額の予算を費やす中長期の事業なら、なおさらだ。復興計画期間を終え、新たな局面に入った仙台の針路とかじ取りは適切なのか。その評価は夏の市長選で下される。(解説=報道部・関川洋平)

◎17年度末残高/3基金最高2024億円 市債は横ばい8686億円

 仙台市の財政調整、市債管理、特定目的(特目)の3基金の残高は2017年度末で計2024億円に達し、過去最高を更新する見込みだ。一方、市債残高は16年度末からほぼ横ばいの8686億円の見通し。
 過去10年の基金と市債の残高(当初予算案発表時の年度末見込み)の推移はグラフの通り。10年間で基金は676億円、市債は1303億円それぞれ増加した。
 基金のうち、借金返済に充てる市債管理基金が1052億円とほぼ半分を占める。市の貯金に当たる財政調整基金は当初予算編成時に大部分を取り崩し、不用額などを戻す運用が続く。残高は年度によって多少の増減はあるが、10億円を切ることも少なくない。
 使い道を決めて積み立てる特目基金は、高速鉄道建設、東日本大震災復興交付金など10基金。10年間で286億円増え、17年度末で963億円に上る見込み。
 一方、市債は通常債が震災後の14年度に一時的に増えたが、その後は微減傾向が続く。臨時財政対策債はここ10年、一貫して増加した。臨財債は国が後に交付税措置することになっているが、市の借金であることに変わりはなく財政運営のリスク要因になっている。

◎18〜20年度 財源不足787億円/財政見通し 教員人件費移管響く

 仙台市が2018〜20年度に累計787億円の財源不足となることが31日、市が発表した財政見通しで分かった。前年度発表した17〜19年度の見通しから51億円縮小したが、今後も人件費が高い水準で推移し、各年度で250億円以上の不足額が生じるとみられる。
 歳入は市税収入が17年度の1889億円から18年度2092億円、20年度2139億円と伸びる一方、地方交付税は3年間で109億円減ると予想。市債は公共施設の改修などで起債が続き、20年度も17年度の576億円と同水準の542億円と見積もった。
 歳出は17年度に教職員の給与負担が県から移管される影響で、人件費が18〜20年度は1154億〜1163億円と東日本大震災前を上回る水準で推移。社会保障に関わる扶助費は17年度の1083億円から20年度に1185億円に増える。
 普通建設事業費と災害復旧費を合わせた投資的経費は復興事業の収束で減少傾向が続き、17年度の803億円から18年度に752億円、20年度には605億円になると見込んだ。
 不足額は主に財政調整基金を取り崩して補う。同基金の16年度末残高見込みは196億円で、17年度当初予算案もほぼ全額を取り崩し編成した。市は財調基金頼みの対応には限界があるとし、地域経済の活性化による税収増を目指す考え。
 財政見通しは現在の税財政制度に基づき、現行の行政サービスを維持した場合の18〜20年度の収支を試算した。

◎2月定例会に84議案提出へ

 仙台市は31日、2017年度当初予算案や98億800万円を減額する2016年度一般会計補正予算案など、9日招集の市議会2月定例会に提出する84件を発表した。
 内訳は予算案33件、条例案31件、人事案3件など。減額補正は、道路新設改良費や東日本大震災の仮設住宅解体費などで不用額が生じたことが理由。
 条例案は、事業所税収額の2分の1を市役所本庁舎建て替えなどの基金に積み立てるための関連条例の一部改正、市営奥新川キャンプ場(青葉区)の廃止に伴う条例の一部改正など。


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2017年02月01日水曜日


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