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<タリウム事件>殺意か観察か 集中審理へ

高齢女性の遺体が見つかった元名大生の自宅アパート=12日、名古屋市

 名古屋市で知人の高齢女性を殺害し、仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大女子学生(21)=仙台市出身、事件当時未成年=の裁判員裁判で、仙台市にある母校の私立高などが犯行現場となったタリウム混入事件の集中審理が2日、名古屋地裁で始まる。「中毒症状を観察したかった」と供述した元名大生。心の闇を解き明かし、真の犯行動機に迫れるかが焦点になる。
 2012年のタリウム事件は殺人までエスカレートした一連の凶行の中で、初期段階の当時16歳の時に起きた。審理には計20日間のうち最長の9日間が充てられ、元名大生の家族が生い立ちや当時の言動などを法廷で語る見通しだ。
 元名大生は殺人と放火事件を審理した5回の公判で「人が死ぬ過程を見たかった」「生物学的なヒトなら誰でもよかった」などと供述。大学の友人や妹も殺害候補だったことも明かした。個人的な怨恨(えんこん)とは無縁の殺人そのものへの赤裸々な興味関心を告白し、社会に衝撃を与えた。
 タリウム事件について、検察側は「2人が死んでも構わず、実験結果として受け入れる考えだった」と指摘。中学3年の時に神戸市の連続児童殺傷事件の話を聞いて猟奇的殺人に興味を持ったとし、「高校時代に化学実験への関心を深め、毒殺事件を調べ始めた」と計画性を強調する。
 弁護側は元名大生が硫酸タリウムを2人に飲ませた事実を認めた上で「中毒症状を観察するためで、死亡するかもしれないとの考えはなかった」と反論。他の事件と同様、「非常に重篤な精神障害が影響している」とし、責任能力の有無を争う。
 元名大生は、静岡県伊豆の国市の元女子高校生=事件当時(16)=が05年、母親に酢酸タリウムを飲ませた殺人未遂事件を知り、タリウムに興味を持ったとされる。検察側は、元名大生がタリウム以外に多数の毒劇物を入手し、高校の同級生に飲ませていたと主張、校内で混入事件が拡大していた可能性を示唆する。

[タリウム混入事件]起訴状によると、元名大生は仙台市内の私立高に通っていた2012年5〜7月、中学と高校の同級生男女2人に硫酸タリウムを飲ませ、殺害しようとしたとされる。硫酸タリウムの致死量は約1グラム。検察側によると、被害男性(20)に2回計1.2グラム、被害女性(21)に1回0.5グラムを盛ったという。男性は著しく視力が低下。女性はほぼ回復したが、脱毛などの症状に苦しんだ。


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2017年02月01日水曜日


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