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<楽天>旅の始まり やがて歓喜の秋へ

野球場併設では日本初となる観覧車の運行が始まり、大勢の親子連れなどがゴンドラからの野球観戦を楽しんだ=2016年5月3日午、仙台市宮城野区のコボスタ宮城

 「いいか、もう駄目だと思ってからが勝負なんだ。頑張って走れ」
 先の土曜日、仙台市の宮城野原公園総合運動場。イチョウ並木の下、長距離走を終えたばかりの高校生数人が監督らしい先生にハッパを掛けられていた。「はい」「はい」「はい」。白い息と、何度も発せられる大きな声。鍛錬の時である。

◎キャンプに寄せて スポーツ部長・日下三男

 その足で近くにあるコボパ宮城の室内練習場をのぞく。プロ野球東北楽天の新人選手たちが合同自主トレの真っ最中だった。投げる、打つ、捕る、走る。ドラフト1位右腕藤平(神奈川・横浜高)をはじめ、即戦力投手の期待がかかる菅原(大体大)、森原(新日鉄住金広畑)、高梨(JX−ENEOS)らが火照った体から湯気を立ち上らせる。ネットの裏でじいっと静かに見ている梨田監督の姿があった。
 「(監督として)去年は土を耕すような段階だったけど、今年は種をまいて収穫をしないといけない」。梨田監督は就任2年目の抱負をそう語る。段階は踏んだ、勝負に出る、と言っているようにも聞こえる。
 プロ野球は1日、キャンプインを迎えた。「元旦」に東北楽天の監督、コーチ、選手はどんな思いを抱いているだろうか。
 なかんずく岸投手は不安の中で真新しいユニホームの袖に腕を通したに違いない。プロ通算103勝の実力派とはいえ、「初めての球団。どうなるんだろう、と思う」と仙台で口にしていた。2年目オコエ外野手は巻き返す気持ちでいっぱいだろう。ドラフト同期生、茂木内野手は各球団で厳しくなるマークにどう立ち向かうかと意欲、気掛かりが相半ばしているかもしれない。人それぞれである。
 プロ野球ファンは時にひいきチーム、選手に自分のありようを投影する。会社組織、ポスト、年齢、家庭生活といったそれぞれの立場で見る。風景はおのずと異なる。
 例えばエース則本の胸の内を推察してみよう。岸の存在が相乗効果をもたらすはずだと、多くの人は考える。だが、その理由や背景を問えば説明は十人十色。だからプロ野球は面白い。皆が「評論家」であり、読みの楽しさこそがスポーツの醍醐味(だいごみ)と言っていい。
 キャンプを経てやがてペナントの争いが始まる。プロ野球選手は長い旅に出たのだ。東北楽天の行く手に待ち受けているのは苦難なのか、それとも勝利の紙吹雪なのか。
 かつて星野球団副会長から聞いたことがあった。「俺たちは選手の動きを見て使えるか、使えないか、使うとしたらどんな場面で使うかと考える。読み、これが大切なんだ」と。
 宮城野原のイチョウ並木が黄色に染まるころ、あの高校生ランナーたちや、東北楽天ナインはどうしているだろう。歓喜の歌を勝手に想像している。


2017年02月01日水曜日


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