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<仙台中2自殺1年>いじめ認めて 遺族訴え

息子の一周忌を前に仏壇に手を合わせる父親

 仙台市泉区の市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自ら命を絶ってから、3日で1年がたつ。市教委第三者委員会のいじめ問題専門委員会が自殺といじめとの因果関係を調べているが、いじめの内実や加害者の特定など核心部分に踏み込む気配はない。一周忌を前に取材に応じた遺族は「答申に必ず『いじめ』の文言を入れ、実態を解明してほしい」と訴えている。(報道部・吉江圭介)

<消えない違和感>
 「加湿器を倒して水が床にこぼれたから、タオルをちょうだい」
 2016年2月2日夜、母親は息子とのやりとりを今も鮮明に覚えている。
 数時間後、タオルは息子の首に巻かれていた。「あの日が来るのが怖い」。消え入るような声で母親がつぶやく。
 男子生徒は感情を素直に表し、家族を和ませる存在だった。目的地を伏せ、家族で東京ディズニーランドに行った際は「目を輝かせて喜んだ」(父親)。
 異変を感じたのは中学2年の15年6月。運動部の後輩3人から、自転車のハンドルを曲げられるいたずらをされたという。同年12月には「部活の後輩から『整形しろ』『死ね』と言われる」と打ち明けた。母親は学校に相談したが、状況が改善しないまま、2カ月後に自殺した。
 直後に記者会見した校長は調査を約束しつつ、「現時点でいじめがあるとは認識していない」と話した。父親は「詳しく調べる前に、なぜいじめがなかったと言えるのか」と今も違和感が消えない。

<「先生 隠蔽工作」>
 学校は、親身に対応してくれたように思えた。その裏で教員が同級生宅を訪れ、生徒に関する無料通信アプリLINE(ライン)の履歴画像の削除を命じていたと、後で知った。父親は「先生が隠蔽(いんぺい)工作をするなんてショックだ」と肩を落とす。
 芽生えた不信感は、専門委や市側にも向く。両親は息子から聞いた複数の「加害生徒」の名前を伝えたが、専門委が聞き取り調査をした形跡はない。徹底調査を求め、奥山恵美子市長に新たな専門委の設置を求めたものの、満足できる返答は得られなかった。
 専門委は「強制力がなく、聞き取りを拒まれたら権限がない」と説明。近くまとめる答申で、いじめの具体例や加害生徒の特定は困難との認識も重ねて示し、遺族は焦りといら立ちを募らせる。
 父親は「きちんとした調査が実施されなければ、息子の死を到底、受け入れることはできない。このままでは、いじめても『おとがめなし』という誤ったメッセージを発信することになる」と危機感を強める。


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2017年02月02日木曜日


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