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<原発ADR>職員給料賠償か否か県に不信感

白石市役所=2016年10月

 東京電力福島第1原発事故による損害賠償請求の和解仲介手続き(ADR)で、2011〜12年度に事故対応に当たった専従職員の給料を賠償の対象とする全国初の和解案を勝ち取った宮城県に対し、白石市が不信感を強めている。ほぼ同時期にADRの交渉を進めていたが、県から情報提供はなく、給料が対象外のまま東電と和解したためだ。昨年9月に県内で初めて和解した丸森町も「県の情報があれば、展開が違った可能性がある」と疑問視する。
 白石市では昨年12月15日、11〜13年度分の被害対策費6010万円を東電が支払う和解案を承認する議案が市議会で可決された。人件費は時間外勤務手当の相当額1560万円が認められたが、専従職員の給料は対象外の和解だった。
 県には昨年11月に和解案の骨子、12月上旬に和解案が原子力損害賠償紛争解決センターから示されていた。菊地正昭副市長は「県と情報交換を密にしていたはず。何らかの示唆があれば、東電と交渉の余地があるとみて議案を出さない可能性もあった。踏みにじられた思いだ」と憤る。
 県の和解案では「段階的に削減する計画だった職員数を原発事故によって減らせず、人件費がかさんだ」という理屈が認められた。一方、白石市や丸森町のケースでは「専門部署を新設して専従職員を置き、事故対策に当たった」との主張が却下されており、両市町は割り切れなさを抱える。
 11〜12年度分で和解した丸森町は、職員数が既に定数を大きく下回っており、人員削減計画は定めていない。保科郷雄町長は「原発事故がなければ他の仕事がスムーズにできたはず。一番大変な思いをした町がばかを見るのでは、やりきれない」とため息を漏らす。
 「この和解実績が先例となり、市町村などの損害賠償請求に好影響を与えることが期待される」(村井嘉浩知事)と胸を張る県と、両市町との意識のギャップは明らか。県原子力安全対策課は「当時は東電が和解案に応じるかどうか分からず、不確実な状況で白石市に提供する判断にはならなかった。2月中旬の担当者会議で関係市町村などに説明し、相談に応じたい」と釈明する。
 県は県議会2月定例会で議決を得た上で、和解契約を結ぶ方針だ。


2017年02月02日木曜日


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