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<超臨界地熱発電>温泉や地震への影響課題

鳳鳴四十八滝の上流部で岩石の形成過程を説明する高嶋准教授(左)=2016年12月、仙台市青葉区新川滝倉

 東北大などのグループによる「超臨界地熱発電」構想の候補地に浮上した仙台市の白沢カルデラは、市民に身近な存在だ。太古の活動で鳳鳴四十八滝(仙台市青葉区)や磊々峡(らいらいきょう)(太白区)などを形成し、マグマによって現在も温泉の恵みを与える。現地では噴火跡を巡るツアーが開かれるなど、関心も高まっている。
 青葉、太白両区で昨年12月、白沢カルデラを観察するガイドツアーが初めて開かれた。雪が舞う中、参加者10人が広瀬川に腰まで漬かって対岸に渡り、鳳鳴四十八滝の岩石に触れた。
 講師を務めた東北大総合学術博物館の高嶋礼詩准教授(地質学)は「カルデラの周囲でマグマが冷えて固まり、硬い岩石になった」と説明。太白山(太白区)や蕃山(青葉区)も「同様に形成された」と述べた。
 秋保温泉近くの磊々峡では、カルデラ噴火で火砕流が堆積してできた石材「秋保石」を見学。噴火後にできたカルデラ湖「古仙台湖」の底に有機物などが積もった地層「白沢層」も観察した。
 ツアーを主催したNPO法人都市デザインワークス(仙台市)の職員豊嶋純一さん(33)は「市街地のそばでカルデラ噴火のダイナミックな痕跡が確認できるのは興味深い」と話す。
 白沢カルデラの研究は、青葉区愛子付近を震源に1998年に起きた地震を契機に進展。地下深部を電磁波などで探査した結果、直下約13キロを長町−利府線断層帯の最下部が走り、マグマだまりが存在していることが判明した。
 東北大大学院環境科学研究科の土屋範芳教授は「海洋プレートの沈み込み帯の中で、白沢カルデラは世界で最も調査が進んでいる。東日本大震災の地震や津波はプレート運動による悲劇だったが、地熱は自然の恵みとなる」と語る。
 白沢カルデラのマグマは秋保、作並両温泉の熱源の可能性がある。温泉の源泉は深い所で地下約1キロの水脈を使うが、超臨界地熱発電は3〜5キロの熱水を利用する。
 「温泉や断層からかなり離れており、直接は関係しない」(土屋教授)というが、温泉の枯渇や泉質への影響、地震誘発の可能性など、クリアすべき課題も多い。


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2017年02月03日金曜日


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