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<タリウム事件>人間のすることではない

 名古屋地裁で2日に開かれた元名大生の裁判員裁判の第6回公判で、検察側が硫酸タリウム混入事件の被害に遭った女性(21)の供述内容を明らかにした。重い中毒症状に苦しみ、友人から突然、裏切られた苦悩がつづられていた。
 元名大生と女性は仙台市の小中学校の同級生で、小学4年の時に友情が芽生えた。当時の印象を「裏表がない素直な性格。話が面白く、とても好きだった」と振り返る。
 別の高校に進学し連絡が途絶えたが、2012年5月27日、元名大生から「転校前にどうしても会いたい」とうそのメールが届いた。
 元名大生はカラオケ店で、硫酸タリウム0.8グラムを混ぜた飲み物を女性に手渡した。翌朝、目覚めると両手足がしびれた。「こんな痛みがこの世に存在するのか」。腹痛や吐き気、不眠などの症状にも襲われ、車いす生活に。髪は全て抜け落ちた。
 「この頃、笑った記憶がない。なぜ私だけ、と一晩中泣き続ける日々」。高校生活は突然、暗転し、自殺を考えたこともあった。
 15年3月、警察から元名大生の犯行だと知らされた。「タリウム」「観察目的」。戸惑いつつ振り返ると、3年前の突然の症状や経過と合致した。怒りと恐怖がこみ上げた。
 執拗(しつよう)にカラオケに誘い、入院中はお見舞いに来てくれた元名大生。「タリウムを飲ませ、症状を観察したかった」という供述を知り、点と点がつながった。
 「恐ろしい薬物の実験台にされた。人間のすることではない。友達だと思っていたのに…」
 女性の悲痛な叫びを読み上げる検察官の声が廷内に響いた。


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2017年02月03日金曜日


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