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<原発避難>和牛の村復興へ牧舎新設計画

3月末の避難指示解除を前に、自宅に新たな牧舎造りを計画する山田さん=1月下旬、福島県飯舘村松塚

 東京電力福島第1原発事故の避難指示が3月末に解除される福島県飯舘村で、松塚地区の畜産農家山田猛史さん(68)が自宅に80頭を飼える規模の牧舎新設を計画している。除染後の水田を放牧地に変える試験にも今春から取り組み、「和牛の村」の復興に向けて本格的に歩み出す。
 山田さんは和牛繁殖農家で、避難先の福島市飯野町で36頭を飼っている。元の牧舎は既に解体された。
 新たな牧舎は村が山田さんの計画を受け、国に復興加速化交付金による建設を申請中。実現すれば1200平方メートルの広さで、最大80頭ほどを飼える。
 山田さんは2015年、除染後の水田を放牧地に転用する構想を村に提案。同県畜産研究所と共同の試験実施が決まり、自らの水田計2ヘクタールで昨年10月から牧草を育てている。今春に和牛6頭を放し、放射性物質が残存し牧草や牛に移行しないかどうかを検査する。
 村では農地除染後も風評への懸念で稲作再開を諦める農家が大半だ。「水田を放牧地にすれば、遊休農地化を防ぎ、畜産で農業復興ができる」と山田さん。
 松塚地区では避難指示解除後、農家7戸が花栽培を始める予定で「試験を成功させ、地元の水田を借りて放牧地を広げたい」と言う。
 計約10ヘクタールを借りる見通しがつき、そこにも牧草をまいて安全性を検査した上で18年から村で飼育、放牧する和牛を増やすつもりだ。
 飯舘村は冷害、コメ不作に悩まされた歴史があり、1980年代から「和牛の村」づくりに農家が取り組んだ。味の良い「飯舘牛」が評判を呼び、原発事故前には約3千頭が飼われた。
 昨年3月には避難先の京都市の食肉販売会社で修業をした三男の豊さん(34)が家族と一緒に帰り、山田さんから経営を譲られた。
 将来は和牛肥育から肉の販売までを手掛けたいといい、山田さんは「牛の復活を志す後継者たちが夢を持って帰村できるよう、道を開けたら」と意気込む。


2017年02月03日金曜日


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