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<杜の都のチャレン人>対話通じ新たな価値

「視覚障害者にとって、点字の『字切れ』が、読む上で重要だと初めて知りました」と振り返る佐藤さん

◎福祉事業所と協働で商品開発を手掛ける 佐藤志保さん(30)

 薄手の白紙に散らばるトレードマーク。黒インクで印刷されたピアノと「ショパンチ」の5文字が踊る。福祉事業所「みどり工房若林」(仙台市若林区)が製作するピアノ鍵盤をモチーフにした小物専用の包装紙と紙袋。デザイナーとして事業所と関わるきっかけとなった仕事だ。
 デザイナーと福祉施設の協働による付加価値の創造を目指す「エイブルアート・カンパニー東北事務局」の仲介で実現した協業。「数ある商品の中で、世界観が明快だったのが『ショパンチ』。施設の人たちが書いた文字やイラストを生かしたカードや包装紙で、差別化を図りました」と説明する。
 小学生の頃から、工作や裁縫が好きで、縫いぐるみ作りや手芸に凝った。進学した東京の美大では、製本やポスター制作をはじめ、さまざまな表現手段を用いて種々雑多な作品を作り続けた。
 大学卒業後、都内のデザイン事務所に就職。大規模展覧会の広報や展示内容の案内表示を手掛けた。宮城県女川町内にある各公共施設の案内表示板計画も担当。依頼主の意向を具体的な形に落とし込んでいく楽しさを知った。
 転機となったのが仙台への転居。新たな拠点を定め、今後の方向を模索していた時期に出合ったのが「ショパンチ」だった。
 その後、音楽イベントの会場で販売する点字入りメモ帳の商品展開も受け持つ。シューマンやベートーベンが残した名言の点字訳と楽器を表紙に配し、落ち着いた色調の全6色をそろえて販売ブースに並べた。点字と音楽の組み合わせは来場者の好評を博した。
 奇抜なアイデアで世間を驚かせるのではなく、依頼者との対話を通じて、新たな価値を生み出すことが理想だ。「福祉施設の製品を慈善活動として買ってもらうのではなく、単純に好きだから買う、と思ってもらえるような商品に育ってほしい」(や)

<さとう・しほ>86年仙台市生まれ。武蔵野美術大造形学部基礎デザイン学科卒。東京都内のデザイン事務所勤務を経て、15年、仙台市青葉区にデザイン事務所「imamoi(イマモイ)」を開設する。青葉区在住。


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2017年02月04日土曜日


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