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<啓翁桜>厳冬期の花 ロシアで咲き誇れ

温室で促成栽培された啓翁桜。国内では開花前に売られるが、ロシアでは満開状態の桜が好まれるという=酒田市

 厳冬期に花を咲かせる山形県特産の「啓翁桜(けいおうざくら)」の販路を広げようと、庄内みどり農協(酒田市、山形県遊佐町)がロシア向けの輸出に力を入れている。12月に需要のピークを迎える国内に対し、ロシアでは3月8日の「国際女性デー」に親しい人へ花を贈る習慣があり、希少性の高い啓翁桜への需要が見込める。生産者は「文化は違っても、花を愛する気持ちは日本にも劣らない」と取引拡大に期待を寄せる。
 庄内みどり農協は3月、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクに2000本を輸出する。現地に幹部職員が同行し、展示即売会やPR活動に当たる。
 年間30万本余りの出荷量全体からすれば少ないが、ロシアでの販売価格は1本約1000円で、同時期の国内価格の倍以上だ。
 阿部茂昭組合長は昨年の国際女性デーに合わせ、サンクトペテルブルクでプロモーションを展開した。「値段がやや高いという指摘もあったが、持って行った500本が2日間で完売した。サンクトペテルブルクの人口は500万。日本企業の進出も多く、潜在需要は高い」と手応えを語る。
 ロシア向け輸出は、山形県の外郭団体が酒田港の対岸貿易拡大を図ろうと、庄内みどり農協に働き掛けたのが始まり。2012年にロシアのバイヤーが酒田市の生産現場の視察に訪れた。翌13年から3年間、極東ハバロフスクの市場開拓を進め、昨年からサンクトペテルブルクに進出した。
 厳格な検疫など課題は少なくない。昨年、サンクトペテルブルクには1000本を輸出するはずだったが、害虫のカイガラムシが付着していたため、実際に持ち込めたのは半数ほど。ハバロフスクへの輸出では思うように需要が伸びず、撤退したのが実態だ。
 酒田市の生産農家高橋正幸さん(50)は「管理の難しさはあるが、国内需要が頭打ちになってから海外市場に働き掛けては遅い。花芽から葉桜まで楽しむ日本の桜文化と合わせてロシアに届けたい」と話す。


[啓翁桜] シナオウトウとヒガンザクラの交配で生まれた。秋に休眠状態に入った桜を切り出し、加温することで花芽を膨らませる。日本一の生産県の山形では2015年度、東根市や酒田市などの農家214戸が156万本を出荷した。庄内みどり農協管内では13戸が34万6000本を出荷した。


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2017年02月04日土曜日


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