岩手のニュース

<糸魚川大火>酒蔵再建へ岩手で修業

麹と水を混ぜ合わせる櫂(かい)入れに取り組む小林久洋さん

 昨年12月に新潟県糸魚川市で起きた大火で全焼した老舗酒蔵「加賀の井酒造」の蔵人見習い小林久洋さん(31)が、岩手県紫波町の「広田酒造店」で酒造りを学んでいる。加賀の井酒造18代目蔵元の兄大祐さん(34)を手伝おうと、勤めていた会社を辞めた直後に大火に遭い、再建を目指して修業に出た。久洋さんは「早く一人前になり、兄を支えたい」と意気込む。

 加賀の井酒造は90以上ある県内の酒蔵で最古の歴史がある。昨年12月22日の大火で酒蔵と社屋が焼失し、出荷予定だった四合瓶と一升瓶計約3000本や仕込み用のタンク約10個が全て灰と化した。
 久洋さんは大火の1週間前、兄と共に家業を守ろうと決意し8年間勤めた製薬会社を退職。群馬県から糸魚川市に移り住んだばかりだった。大火の2日後に惨状を目にし「何も考えられなくなった。ショックを通り越した」と振り返る。
 366年の歴史を刻んだ酒蔵を失った悲しみを乗り越え、大祐さんは来年冬の現地再建を目標に掲げた。久洋さんも「酒造りの経験がない人間がいては再建後に足を引っ張る」と考え修業に出ることを決めた。
 受け入れ先を探したところ、あまり付き合いのなかった広田酒造店が無償で協力に応じた。1月21日から住み込み、麹(こうじ)の管理や酵母の培養、タンクの掃除などを学んでいる。
 広田酒造店5代目蔵元の広田英俊さん(49)は「東日本大震災後は同業者から多くのお見舞いがあった。今度は誰かの力になりたいと思った。南部杜氏(とうじ)の技を存分に吸収し地域復興に生かしてほしい」と話す。
 修業は3月末まで続く予定。久洋さんは「もう一度うまい酒を造ることが復興の何よりのアピールになる。技術だけでなく酒と生きる蔵人の精神も岩手で学び、いつか糸魚川で日本一の酒を造りたい」と誓う。


2017年02月05日日曜日


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