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<山形首長選>目立つ無投票 背景に閉塞感

寒河江市長選で2期連続の無投票で3選を果たした佐藤洋樹市長(左端)=2016年12月18日、同市の事務所

 3期目の任期が14日にスタートする吉村美栄子山形県知事は、1月の知事選で全国の知事では3例目という異例の2期連続無投票で当選を決めた。知事選だけでなく山形県内の市町村長選に目を向けると、35市町村中、無投票で当選した現職市町村長は18人と過半数を占め、その比率は東北で最も高い。背景を取材すると、全国的に進む政治への関心低下に加え、高齢化の進展に伴う地域活力の低下、改革や争いを好まない県民性が浮かび上がってくる。(山形総局・阿部萌)

 この4年間、山形県内で無投票で市町村長が当選したのは5市10町3村(表)。全体の51.4%に上る。東北の他県は青森42.5%、岩手48.5%、宮城31.4%、秋田40.0%、福島35.6%だ。
 無投票当選したのはいずれも現職首長で、複数回の当選を決めた。初当選の時から5期連続無投票という東根市の土田正剛市長のようなケースもある。

<人材がいない>
 無投票が多い要因を「元々対立が好きではない県民性が関係している」と分析するのは野川政文県議会議長(自民党)。「選挙戦でまちが真っ二つになり、修復に苦労した歴史はどこにでもある。その結果、首長の引退がなければ、新たな候補者が出てこないのではないか」とも推察する。
 民進党の県議は「人口が減り、高齢者が大半を占める地域で、活発な選挙をしろというのは無理な話。若いヒーローが出てきてくれれば良いが、そんな人材はなかなかいない」と、人口減や高齢化による地域の衰退が影響しているとみる。
 吉村知事は自身の経験を交え、「選挙に対する関心が薄くなり、政治家になりたい人も減っているのではないか。私も8年前はなりたくなかった」と、底流にある時代背景を指摘する。

<新人にリスク>
 ある町長は「小さな町村では政策だけでなく、生まれ育ちや普段の生活、親や兄弟はどんな人なのかということまで見られている」と指摘。「その結果、住民があの人なら間違いない、応援しようと思えば、無競争になるのではないか」と首長と地域との結び付きの強さも一因に挙げる。
 地方の閉塞感に言及するのは、山形大人文学部の北川忠明教授(政治学)だ。「人口減で自治体財政が縮小しているため、政策選択の幅が狭く、首長がやりたいことをできるとは限らない。大都市と違って浮動票も期待できず、特に新人が支持基盤を固めた現職に挑むリスクは大きい」と分析する。
 さらに、こうも指摘する。「山形県民は目玉政策でけん引するよりも、みんなの意見を聞いて地域ニーズを調整し、政策のバランスを取るリーダーを好む。改革型リーダーが好まれない土壌では政策転換を訴えても票は取れず、ますます立候補する人がいなくなるのではないか」
 だが、無投票は有権者の意思表示の機会の喪失を意味する。若者の政治参画に取り組むNPO法人ドットジェイピー山形支部白田春樹さん(21)=山形大理学部3年=は「確かに周りを見ても選挙に関心のある人は少ないが、有権者に選択肢が示されないまま物事が決まってしまうのは残念だ」と話している。


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2017年02月06日月曜日


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