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<この人このまち>有機農業で地域豊かに

武藤一夫(むとう・いちお)1952年二本松市生まれ。安達高卒。2005年レストランを開店。同年設立のNPO法人「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」で、14年から理事長を務める。

 福島県二本松市のナメコ農家武藤一夫さん(64)は複数の顔を持つ。イタリアンレストラン「東和季(き)の子(こ)工房」のオーナーとして新鮮な野菜を使う料理を提供。NPO法人理事長として移住者の就農支援に力を注ぐ。「地元の東和地区を豊かにしたい」。農業を軸にした地域おこしへの思いは熱い。(福島総局・柴崎吉敬)

◎レストラン「東和季の子工房」オーナー 武藤一夫さん

 −レストランの開店は2005年。どんな思いで始めましたか。
 「東和地区で盛んだった養蚕業が衰退し、有機農業で育てた野菜で東和をPRしたいと考えていました。ファン獲得に向け『まず食べてもらう場を作ろう』と開店を決断しました」
 「本業はあくまでナメコ農家なので、もうけはあまり求めません。農業を長年営んできたこの地に貢献するという気持ちで、10年以上続けてきました」

 −店舗の特徴は。
 「東京のイタリアンレストランで修業した息子が調理担当です。朝の直売所で新鮮な旬の野菜を選び、パスタやピザを作ります。お湯を沸かしてから畑に行き、採ったトウモロコシをゆでてポタージュを作ることも。東京でどんなにお金を払っても食べられないような新鮮さが売りです」

 −レストランは民泊機能もあり、2階には7人が泊まれるそうですね。
 「子どもたちの農業体験の場として、東日本大震災の前年の10年に仲間と準備を始めました。県の認可を得るなど、周辺の農家25戸で受け入れる計画を立て、『さあこれから』というときに震災と東京電力福島第1原発事故が発生。子どもたちを呼べなくなりました」
 「それでも12年に土壌調査で訪れた研究者と学生を泊めると、評判が口コミで拡散。現在は22戸が受け入れており、毎年、首都圏の学生ら1000人以上が利用してくれています。農家の主人も一緒に酒を酌み交わすような親しみやすさが好評のようです」

 −NPO法人「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」の活動は。
 「東和地区への移住者は法人設立の05年以降で20人を超えました。大半が就農希望で、有機農業の経験が豊富なメンバーが1年間付きっきりで農業のいろはを教えています。共同出荷先など販路も紹介し、自立後も生活の見通しが立つようにサポートしています」

 −目指すところは。
 「『農業だから貧しい』と言われるのは悔しい。地域資源である農業を軸に、誰もが豊かさを感じられる地域をつくりたい。そのためには移住者定着が大切。新しい価値観を地域に取り込んでいきたいですね」


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2017年02月06日月曜日


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