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<原発事故>凍み餅6年ぶり復活 膨らむ期待

原発事故前の写真を見ながら生産再開について語る松本さん=福島県三春町
原発事故前の凍み餅作りの様子。松本さん(右端)ら主婦たちが担ってきた=2004年

 東京電力福島第1原発事故で一時全村避難となった福島県葛尾村の特産「凍(し)み餅」が6年ぶりに復活する。農家の主婦らの食品加工会社「おふくろフーズ」が今月中にも、新設した加工場で生産を再開する。会社設立から四半世紀。6次産業化の先駆けを担ってきた代表の松本富子さん(80)は「食文化を引き継ぎたい」と決意を新たにする。
 凍み餅は、もち米などにヨモギやオヤマボクチといった山野草を混ぜてつき、凍らせた後に乾燥させる。
 松本さんは1990年、主婦仲間と会社を設立して製造を開始。原発事故直前の2011年の出荷量は約8800連(1連は12個つなぎ)で、事業開始当初の11倍に増えていた。
 原発事故で状況は一変。里山は汚染され、村民は県内外に避難した。松本さんは親類の暮らす静岡県に移る直前、加工場に残っていた製品や原料をトラックに積み込んで廃棄せざるを得なかった。
 それでも、もち米も山野草も契約農家から調達するなど全て地元産を貫く積み重ねがあったから、みんなが再開を願った。仲間たちは避難先で山野草の苗を育て、「再開したら手伝わせてね」と言ってきた。
 「絶対に再開させる」。原料を廃棄した時に誓った思いが、周囲の声で一段と膨らんだ。
 村の避難指示は昨年6月、帰還困難区域を除いて解除された。松本さんは翌月、旧施設の解体を始め、11月に新たな加工場の建設に着手。既にほぼ完成しており、引き渡されれば、すぐにも計8人程度で凍み餅生産を開始したい考えだ。
 使用する県内産のもち米など原料と製品の各段階で放射性物質濃度を検査し、安全性を確かめる。乾燥を経て早ければ3月中に復活の凍み餅が出来上がる。
 松本さんは現在、福島県三春町の災害公営住宅に暮らす。今後は再開を後押ししてくれた家族の車で加工場に通うことになる。
 「ようやくたどり着いた。伝統食を若い世代に引き継ぎ、葛尾村復興の一助にしたい」と松本さん。凍み餅は地域をつなぎ、輪を育む存在と信じている。


2017年02月06日月曜日


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