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農産品GI申請広がる 産業振興や輸出促進

 東北で農林水産品の名称を地理的表示保護制度(GI)に登録する動きが相次いでいる。東日本大震災からの産業復興や海外輸出の促進、知名度アップなど各産地の狙いはさまざまだ。国が名称や産地を守る仕組みへの期待が高い半面、手続きの難しさを指摘する声もある。(報道部・加藤健太郎)
 東北のGI登録、申請の状況は表の通り。青森県は全国第1号となった「あおもりカシス」を含む2件が登録され、岩手、宮城、秋田、山形4県の計5件が公示されている。東北農政局によると、公示されていない申請済みの産品も複数あるという。
 宮城県漁協や商社などでつくるみやぎ銀ざけ振興協議会は昨年3月、「みやぎサーモン」を申請した。生け締めによる高い鮮度と品質が売りだ。震災で大きな被害を受けた養殖ギンザケの復活に向けた新ブランドとしてアピールする。
 GIでは品質特性や生産方法を明示する必要がある。宮城県水産業基盤整備課の担当者は「復旧、復興の中で輸入サーモンとの差別化をどう図るかを検討してきた。GIが求める品質管理は今後のブランド化にも活用できる」と強調する。
 昨年12月には改正GI法が施行され、国は同等の制度を持つ外国と協定を結び、相互保護を目指す。果樹王国ひがしね6次産業化推進協議会(東根市)は「リスクがある海外輸出を目指す上で、国のお墨付きを得る意味は大きい」と期待する。
 ただ、登録のハードルは低くない。「北あきたバター餅」を2015年8月に申請した日本バター餅協会(北秋田市)は審査で、伝統性の証明に苦戦した。古い文献や写真が見つからず、申請をやむなく取り下げた。
 北秋田市商工観光課の担当者は「各家庭などで口伝えによって作られ、食べられてきたものなので古い明確な資料や統一の規格はなかった。どうにか本場の味をアピールしたかった」と口惜しがる。
 「あおもりカシス」は登録後、大手企業による紅茶やパンなど関連商品の発売が相次ぐ。あおもりカシスの会事務局は「国に毎年、報告しなければならないといった大変さはあるが、知名度が上がり、問い合わせも2倍になった」と効果を説明する。

[地理的表示保護制度(GI)]地域の特色を生かした農林水産物や加工品のブランドを守る枠組み。地理的表示法に基づき、登録された名称は国が知的財産として保護する。登録後の不正使用は罰則対象。昨年12月現在の登録数は24件。国は2019年度までに全都道府県での産品登録を目指す。酒類のブランドを守るGIもあり、清酒の「山形」やワインの「山梨」など8件が指定されている。


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2017年02月06日月曜日


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