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仙台藩家臣の茶室 震災後の修復手付かず

東日本大震災で大きな被害を受けた大條家ゆかりの茶室。壁の一部が崩れ落ちている=山元町坂元

 仙台藩に仕えた大條(おおえだ)家ゆかりの建築物で、宮城県山元町坂元地区にある町指定文化財の茶室が、東日本大震災の揺れで大きな被害を受けたまま手付かずの状態になっている。専門家は、仙台藩の茶の湯文化を伝える貴重な文化財だと指摘し、早急な修復の必要性を訴えている。
 建物は10畳の座敷などがある木造平屋の書院風茶室で、延べ床面積約45平方メートル。江戸時代末期には建築されていたとみられる。町史によると天保3(1832)年、現在の坂元地区周辺を治めていた大條家当主の道直が12代仙台藩主伊達斉邦から賜り、仙台城から城下の大條家に移されたと伝えられる。仙台市内での移築を経て、1932年に現在地に移された。
 大震災では津波被害は免れたが、揺れで外壁が半壊したほか、基礎や屋根も壊れた。2012年度に文化庁の東日本大震災被災文化財建造物復旧支援事業による調査が行われ、解体による詳細調査後に修復する必要性を指摘した報告書が町に提出された。
 調査メンバーだった山形大の永井康雄教授(建築史)は「仙台藩の上級家臣の家には茶室があったが、残存するのはここだけで大変貴重だ」と修復保全の必要性を訴える。
 茶室をめぐっては、東日本大震災直前、町文化財保護委員会が建物の保存・活用の必要性を町教委に答申していた。震災で茶室の状態が大きく変化したことから、同教委は本年度中に改めて、文化財保護委員会に茶室の在り方について諮問する見通しとなっている。
 町教委の担当者は「集団移転地整備に伴う遺跡発掘作業などで手いっぱいで、文化財の保全にまで手が回らなかった。文化財保護委員会から改めて答申を受け、保護・活用の方向性を探りたい」と説明している。

[大條家ゆかりの茶室]2002年、山元町文化財に指定された。所有者から建物の寄付を受け、09年に町が敷地を購入した。東日本大震災被災文化財建造物復旧支援事業の調査報告書では増改築が行われた可能性を指摘。修復費は2100万〜3500万円と見積もられている。


2017年02月07日火曜日


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