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<イケメン若旦那>歴史重んじ挑戦続ける

青根洋館で古賀政男ゆかりの資料を眺める原さん

 立春は過ぎたが、まだまだ寒さ厳しい季節。東北各県には、身も心も癒やされる温泉地や湯煙の宿が数多くある。顔に限らず、心意気、行動力でも魅力的な「イケメン」の若旦那たちに、自慢のご当地を案内してもらおう。

◎温泉地を行く(1)青根温泉(宮城・川崎)

<哀愁漂う旋律>
 蔵王山麓の中腹にある青根温泉(宮城県川崎町)には、シンボルと言える洋風建築がある。明治期の宣教師の住宅を移築、復元した青根洋館だ。
 「観光するなら、まずはこちらから」。旅館「流辿(りゅうせん)」の若旦那、原太一郎さん(34)が爽やかな笑顔で教えてくれた。
 大正ロマンの薫りを残す建物は、1階が観光案内所と休憩室を兼ねる。2階は作曲家古賀政男の資料館。哀愁漂う古賀メロディーが流れる中、代表曲「影を慕いて」の譜面や愛用したギター、マンドリンのレプリカなど関連資料約50点を鑑賞できる。
 古賀は昭和初期にこの地を訪れ、世をはかなんで山林をさまよった経験を基に「影を慕いて」を作ったとされる。原さんは「古賀先生のおかげで青根の名前が広まった」と感謝してやまない。
 100万都市・仙台の比較的近くながら、山あいの険しさや静けさ、歴史の重みが感じられる青根温泉。開湯は1528(享禄元)年で、後に仙台藩伊達家の湯治場となった。「青根の歴史を知るならここは外せません」。原さんが次に案内したのは、旅館「不忘閣」の資料室だ。
 伊達家ゆかりの書状やよろいをはじめ、旅館に泊まった川端康成や与謝野晶子の書など計約30点が展示してある。
 資料室は宿泊客だけが見学できる。不忘閣のおかみ佐藤真由美さん(52)は「展示品の鑑賞を楽しみにしているお客さまは多い」と話す。

<自ら組合長に>
 原さんはニュージーランドの大学で経営学を学んだ後、2004年に帰郷した。家業の旅館経営に携わるうちに青根温泉全体の活性化への思いが強まり、14年に自ら手を挙げて旅館組合の組合長となった。
 就任以来、若旦那が1人ずつ日替わりでお薦めの日本酒を紹介する「一升瓶バー」の開設や、ミュージックフェスティバルの開催、ドッグランの設置と新たな取り組みを次々と始めた。
 宿泊客の反応は上々だ。同じ世代の同業者からも「青根は頑張ってるね」と評価を受ける。原さんは温泉地の新たな魅力づくりに手応えを感じつつある。
 「歴史を受け継ぎながら新たな挑戦を続けるのが自分たちの仕事。より良い温泉地を後世につなぎたい」と原さん。「古い革袋に新しい酒を」の精神が、今の青根温泉には息づく。(大河原支局・柏葉竜)

[メモ]青根温泉には5軒の旅館や公衆浴場「じゃっぽの湯」、2カ所の足湯がある。青根洋館の営業時間は午前9時〜午後4時で入場無料。12日には、2000本のろうそくの明かりをともすイベント「雪あかり」が青根児童公園で開かれる。


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2017年02月09日木曜日


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