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<仙台市バス>経営黄信号 健全化団体転落も

仙台市地下鉄東西線薬師堂駅のバスプールに入る市バス。東西線開業に伴い再編された多くの路線で利用が低迷する

 仙台市交通局の路線バス事業に黄信号がともっている。2015年度末に約5億円だった単年度赤字は、市地下鉄東西線開業などの影響で16年度末に約12億円へ拡大する見通しで、経営健全化団体への転落が現実味を帯びてきた。人件費や管理費のさらなる節減は限界に近く、「聖域」と言われる路線縮小や減便が避けられない状況だ。
 市自動車運送事業(バス事業)の営業収益に占める資金不足額の割合(資金不足比率)は、15年度末で6.6%。16年度末に11.9%、17年度末は17.2%に高まると見込む。20%を超えると、バス事業は財政健全化法が定める経営健全化団体となる。
 西城正美市交通事業管理者は「数年以内に20%を超える恐れがある。経営状況は非常に厳しく、必要な手だてを講じなければならない」と危機感を隠さない。
 経営健全化団体に転落すると健全化計画を策定し、実施状況を毎年度公表する義務が生じる。計画を達成できなければ国から勧告を受け、運賃引き上げなどにつながる可能性がある。
 市交通局によると、1日当たり乗客数は1980年の約30万1000人をピークに減り続け、17年度見込みは10万3000人。起点から終点までの平均乗客数を示す平均乗車密度は9.5人(15年度)で、公営バスのある川崎など6政令市平均の12.8人(14年度、仙台市を除く)を下回る。
 バス事業の失速は予想された事態でもある。15年12月に市地下鉄東西線が開業し、南北線とつくる鉄軌道の十字交通軸が整った。バスは東西線開業に伴う路線再編で地下鉄の補完的役割となり、「確実な収益が期待できるのは北西部の青葉区中山方面ぐらい」(交通局の担当者)になった。
 東日本大震災の影響もある。津波を受けた沿岸部の路線は乗客がいないバスが目立ち、沿岸部の若林区荒浜方面に向かう東西線荒井駅発南長沼行きの平均乗車密度は1.2人(16年10月)にとどまる。
 交通局は91年度から市バスの経営改善に取り組んでいる。路線網の半分の運行管理を宮城交通やJRバス東北に委託し、正職員の運転手を減らして人件費を抑制するなどしてきたが、費用の圧縮も限界に達しつつあるという。
 市民の利便性に配慮し、交通局は路線網や便数の維持に努めてきたが、西城管理者は「赤字体質を改善するため、利用状況に応じたサービス供給量の検討に踏み込む」と話す。

[メモ]仙台市バス事業の財政状況は、2016年度2月補正後予算で事業費約117億円に対し、営業収益は約72億円。市一般会計からの補助金約30億円などを加えても、約12億円の単年度赤字が生じる。累積赤字は約60億円の見通し。事業費の内訳は運送経費約53億円、人件費約48億円など。


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2017年02月09日木曜日


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