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<被災地スポーツの力>なでしこの夢支える

常盤木学園の試合で声援を送る佐久間さん(中央)。右は妻の由美子さん、左は木田さん=宮城県松島町の松島フットボールセンター

<日本唯一かも>
 「常盤木、レッツゴー!」。なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)を目指す若きイレブンがボールを追うピッチの脇で、男性が声を張り上げた。1月30日、宮城県松島町で行われた東北高校新人選手権の女子決勝。宮城勢対決となった常盤木学園−聖和学園戦で、会社員佐久間隆さん(50)=仙台市若林区=は常盤木学園のサポーターとして応援を続けた。
 仲間の会社員木田修誠さん(32)=同市宮城野区=がたたく太鼓のリズムに合わせ、選手たちを多彩な応援歌で鼓舞。試合終了間際の同点弾で追い付いて両校優勝となり、汗だくの応援が実った佐久間さんは「これからもっと成長してくれるはず」と目を細めた。
 部員や保護者が応援に当たる場合が多い高校女子サッカー部のサポーター組織は珍しく「日本唯一かも」と佐久間さん。全日本高校女子選手権で5度の優勝を誇り、なでしこリーグ下部のチャレンジリーグに参戦する強豪校に家族や親類がいるわけではない。
 応援を始めたきっかけは東日本大震災だった。
 佐久間さんはもともと日本フットボールリーグ(JFL)のソニー仙台のサポーター組織のリーダー。応援を続けたチームが被災により、11年シーズンの前半戦の活動休止を余儀なくされた。
 多賀城市の勤め先も津波被害が出て「会社の復旧が第一で応援どころではなかった」。楽しみを失った寂しさの中、全国のクラブやサポーター仲間からの義援金など温かい支援に心がほぐれた。その一つ、当時JFLのJ3長野の関係者に謝意を伝えるため、11年9月に宮城県利府町であったチャレンジリーグの長野と常盤木学園のリーグ戦を初観戦。大人相手にひたむきに戦い、白星を飾った同校選手の姿に魅了された。

<成長を見守る>
 「スポーツの原点と魅力を感じた。『なでしこ』を目指すなど明確な夢を持つ選手たちの力になりたい」。応援への思いが募り、学校側にサポーターになることを願い出た。
 各地を回り、卒業生の所属チームの試合も含めて年間50試合以上を応援。木田さんや妻の由美子さん(47)を含め、10人ほどの仲間が全国にいる。主力選手の横断幕も自費で作る熱の入れようだ。同校の阿部由晴監督は「選手に応援されている意識が生まれ、励みにしている。ふがいない試合はできない」と熱意に感謝する。
 佐久間さんは、今後も選手たちの成長を近くで見守り続ける。「応援する多くの人のために戦う経験を、早くから選手たちに積んでもらい、夢をかなえるサポートをしたい」。震災で支えられる幸せを知ったからこそ、次世代の若者を支えようという思いは強い。(原口靖志)


2017年02月09日木曜日


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