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<タリウム事件>被害男性「夢や目標台無し」

名古屋大の元女子学生の初公判で、傍聴券抽選のため名古屋地裁前に並ぶ人たち=1月16日

 「夢や希望を台無しにされた。許せない気持ちでいっぱい」。元名大生の裁判員裁判第10回公判に、高校時代に劇物を投与されたとされる元同級生の男性(20)が出廷し、体の自由や将来の夢を奪われた苦悩を語った。
 男性はタリウム中毒と診断され、視力が著しく低下。法廷では冒頭、文字を大きくする機械で宣誓書を5倍に拡大した。現在の視力について「中央に裁判長がいるのが辛うじて分かる」程度と説明。混入事件後、視界にもやがかかった状態が4年7カ月続いているという。
 男性は2012年6月6日、教室で突然激しい腹痛に襲われた。6日後の朝、抜けた髪が枕に100本以上付いていた。「信じられなかった」。薬を飲んでも治らず、腹痛、脱毛、脚の痛みは日増しに悪化した。
 約1カ月後、視界が突然曇り、駅の電光掲示板が見えなくなった。通学が難しくなり、10月から3カ月半入院。視力は0.01〜0.02まで落ち、矯正もできなくなった。同年12月、タリウム中毒と診断された。殺人に使われる薬品と知り、恐怖を感じたという。特別支援学校に転校を余儀なくされ、理系に進む夢を諦めた。
 15年1月、警察からの連絡で元名大生による犯行と知った。隣の席だったが、話した記憶はない。当時の印象について「混入事件の少し前、元名大生は『大丈夫だから』と言って教室で同級生2人に謎の粉をなめさせていた」と振り返る。
 男性は現在、関東の大学ではり・きゅうを学びながら、通院している。じっと前を見詰め、尋問を聞いていた元名大生に強い口調で告げた。
 「描いていた夢や目標を台無しにされ、自由を奪われた。一生刑務所に入って罪を償ってほしい」
 元名大生から謝罪や反省の言葉は今もない。


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2017年02月10日金曜日


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