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福祉タクシー 古里復興願う

震災を契機に福祉タクシーを開業した伊藤さん=仙台市青葉区北目町の福興舎五橋営業所

 法務省職員だった仙台市出身の伊藤真康さん(44)が東京からUターンし、高齢者や障害者向けの福祉タクシーを市内で起業、奮闘している。東日本大震災で様変わりした古里・宮城県の姿に心を痛め、一念発起した。「震災前より住みやすい街になるよう貢献したい」と意気込む。

 営業を始めたのは昨年11月。ミニバンタイプの福祉車両を運転し、1人で出掛けるのが難しい高齢者らを病院などに送迎するのが主な仕事だ。「必ず『ありがとう』と言ってくれる。やりがいを感じる」と充実した様子で語る。
 震災で人生が大きく変わった。東京・霞が関の職場で震災に遭遇し、宮城県沿岸に津波が押し寄せる様子をテレビで目にした。「見慣れた風景が一変し、ショックを受けた。帰って何とかしないといけないと、焦りにも似た気持ちだった」と振り返る。
 震災直後から数カ月、県沿岸の被災地に通い、泥だしなどのボランティアを続けた。東京では友人らと県産品を販売するイベントを開催。支援活動に奔走するうち、「復興を実感するには地元で新しい仕事を興して、地域産業の担い手になるべきだ」と思い立った。
 訪問介護事業を始めた友人にヒントを得て、小資本でも起業できる福祉タクシー事業に着目。法務省を退職し2015年10月、生まれ育った仙台に戻り、介護現場でボランティアをしながら必要な免許を取得するなど開業準備を進めた。
 事業は「大赤字」でまだ軌道には乗っていないが、「打開するアイデアはある」と言い切る。車いすのスポーツ選手や外国人観光客らを新たな顧客として取り込めないか思案している。
 会社名は「震災復興から転じて暮らしに福が興る」との願いを込め、「福興舎(ふっこうしゃ)」とした。「多くの人の役に立ちたい。その思いが震災で噴き出した」と伊藤さん。誰もが安心して暮らせる古里を思い描きながら、ハンドルを握りしめる。連絡先は福興舎090(7520)5388。


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2017年02月10日金曜日


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