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<宮城県予算案>4選へ「新村井色」

 村井嘉浩知事の3期目を締めくくる2017年度当初予算案は、震災復興への新たなステージを鮮明にし、4期目を見据える姿勢を色濃くにじませた。

◎経済偏重からの脱却狙う

 歳出ではピークを過ぎた震災関連に代わり、介護や子育て分野に手厚く配分。「富県戦略」を掲げ、経済重視で走り続けてきた軸足をシフトチェンジし、新たな「村井カラー」を演出するための布石を打った。
 象徴的なのは、子ども医療費助成の拡充だ。通院の対象年齢を3歳未満から就学前に引き上げ、新たに約7億円を上積みした。
 「年に数回しか風邪をひかない子どもの医療費を無料にするのは福祉ではない」との信念から、拡充に後ろ向きだった村井知事。数々の企業誘致を成功させ、経済政策偏重とされるイメージを打ち消す狙いが透けて見える。
 記者会見で村井知事は、待機児童解消の関連予算を前年度比53%増の25億5000万円に引き上げた点に触れ、伸び率では東京都(41%増)の新年度予算を上回ったと胸を張った。
 待機児童対策に力点を置く小池百合子都知事を引き合いに出し、「福祉の村井」を強調した視線の先に、今秋の知事選があるのは間違いないだろう。
 県震災復興計画(11〜20年度)は、仕上げの時期に入った。財政を取り巻く環境は厳しさを増している。県税収入は2年連続で3000億円を超えたが、税収の先行きは不透明で、足元は盤石ではない。
 限られた財源の中で自らが提唱する「創造的復興」を完遂し、福祉や子育て、教育など弱点とされたソフト分野の充実を図ることができるか。自身の4選に向け、難しい連立方程式を解くかじ取りが求められる。
(解説=報道部・大橋大介)

◎厳しさ増す財政運営 基金取り崩し、迫る枯渇

 県は2017年度当初予算案で、貯金に当たる財政調整基金を過去10年で3番目に多い113億円取り崩すなど、難しい編成作業を強いられた。震災関連の復旧復興事業が一段落すれば、県税収入の落ち込みも懸念され、財政運営の厳しさは増すとみられる。
 予算編成段階で、財源不足額は218億円に上った。県有施設の命名権売却や人件費削減などで105億円を確保し経常経費を前年度比5%削減するマイナスシーリングも実施したが不足分は埋まらず、財政調整基金でやりくりした。
 財源不足を穴埋めする基金の残高は、県債管理基金を含め、17年度末で計249億円に落ち込む。県財政課は「震災復旧事業がピークを過ぎて歳出は減少する見通しだが、現段階の試算では数年以内に基金が枯渇する」と危機感を抱く。
 17年度末の県債残高は前年同期比で189億円減少したが、1兆5970億円と高止まりの状況が続く。県民1人当たり約70万円の借金を背負う計算となる。
 一方で、社会保障費は高齢化などに伴って3.6%増の1298億円に達した。今後、県有施設や道路、上下水道などの老朽化対策費も増大が見込まれる。歳出削減による財源確保が避けられない状況だ。
 大塚大輔総務部長は「復興需要が終わり、景気回復も見込めなければ県税収入の伸びはストップする。基金に頼る財政運営になっており、節減と徴税努力をする必要がある」と話す。


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2017年02月11日土曜日


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