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<宮城県予算案>復興新ステージへ ソフト重視

「震災復興 新ステージ予算」のボードを掲げ、「再生期の総仕上げに取り組みたい」と語る村井知事

 村井嘉浩知事は10日の記者会見で、総額1兆2250億円の2017年度一般会計当初予算案を「ハード重視からソフト重視へ 震災復興新ステージ予算」と発表した。「被災者の生活再建に向けたソフト対策、医療福祉の充実へ軸足を移す」と強調した。
 東日本大震災の復旧事業が落ち着きつつある状況を踏まえ、村井知事は重点配分した福祉施策として子ども医療費助成や、待機児童解消に向けた保育所整備費用の拡充を挙げた。
 「これまでは財政状況が厳しく、支援できなかった。企業誘致や復興需要で県税収入が過去最高を更新し、ようやくチャレンジできる」と話した上で、「村井県政12年を総括し、復興後の新たなステージへ向かう」との考えを示した。
 訪日外国人旅行者(インバウンド)対策として、仙台空港の運用時間延長に向けた調査費や、周辺地域のにぎわい創出推進費も盛り込んだ。「沿岸部の活性化には交流人口の拡大が特効薬。復興需要の勢いを継続するためにも先手を打っていく」と説明した。
 財政バランスについては「直ちに財政危機に陥る状況ではないが、基金を切り崩し、予断を許さない状況が続く。引き続き、企業誘致などの富県戦略を進めていく」と述べた。

◎商工・観光/外国人誘客に力注ぐ

 20年の外国人宿泊者数50万人を目指し、訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘客、被災地の観光回復に重点配分した。
 首都圏や北海道を訪れる外国人旅行者を県内や東北に呼び込む費用として、新たに3億7500万円を計上。昨年7月に民営化した仙台空港を利用する個人旅行者向け観光情報の発信強化に4000万円の事業費を確保した。
 三陸地域にある観光案内板の多言語化を進める事業には3750万円。松島水族館跡地活用の施設整備に対する助成費2億50万円、インターネットなどによる冬季の観光資源PR事業2500万円もそれぞれ盛り込んだ。
 ベトナムでのマーケティング事業に1664万円を投じ、県産の水産加工品や日本酒などの輸出を促進する。子育て中の女性の就業支援策を新たに事業化し、1800万円を充てた。

<主な事業>
中小企業復旧・復興支援費   285億円
企業立地促進奨励金   34億3430万円
仙台・松島復興観光拠点都市圏強化費 1億2700万円
みやぎ観光戦略受入基盤整備費 2億8665万円
伊達政宗生誕450年プロモーション推進費100万円

◎生活基盤・防災/復興担い手育成補助

 復興人材育成費として7500万円を計上した。県内の大学などでつくる団体「復興大学」が行う学生らの研修に補助。新年度から宮城大1年生の必修科目となる「地域フィールドワーク」の運営にも充てる。
 高校生を地域防災の担い手として育てるため、防災ジュニアリーダー養成費300万円を予算化した。4カ年計画で、17年度は70人参加の研修を予定する。
 地域防災力向上支援費は1600万円。沿岸被災市町の新たな住宅地で自主防災組織の結成をサポートし、内陸部で活動が不十分な組織の活性化を図る。
 県外避難者支援費は5850万円で、約1400万円増額した。県外避難者の自宅に調査員を派遣し、避難先への定住または県内への帰郷を望むのかどうか意向確認を進める。
 仙台東部道路と仙台市中心部を結ぶ新たな自動車専用道路「仙台東道路」の建設構想に向け、新年度も調査を継続する。関連費1000万円を盛り込んだ。
 JR仙台貨物ターミナル駅(宮城野区)の敷地に整備する広域防災拠点の費用は31億6510万円。土地購入費やJR貨物への補償などに充て、20年度の一部利用開始を目指す。

<主な事業>
復興関連道路整備費         283億8020万円
みやぎ県北高速幹線道路整備費    80億8550万円
災害復旧費(宮城豪雨分)      9億2106万円
被災地域交流拠点施設整備支援費   3億3255万円
東日本大震災記憶伝承・検証調査費    4650万円

◎子育て・教育/待機児童対策費1.6倍

 子育て支援の新規事業として、第3子以降を対象にした小学校教材費など入学準備の支援に4800万円を計上。金融機関と連携し、子育てや教育ローンの利率軽減を図る事業に5031万円を盛り込んだ。
 保育所整備や企業内保育所の整備支援など待機児童解消の対策費は、前年比1.6倍となる24億9950万円に増額した。
 教育分野では、5市町に新設する「みやぎ子どもの心のケアハウス」の運営費を1億6710万円に拡充。いじめや不登校対策に2億3670万円を充て、対応を強化する。被災した気仙沼向洋高、宮城農高の校舎移転新築に190億7099万円、石巻北高と名取高などの校舎改築に75億3435万円を見込んだ。
 宮城スタジアムなどの改修に14億5392万円。東京五輪・パラリンピックの出場が期待される選手の強化対策費は1500万円。

<主な事業>
認定子ども園などへの運営費負担 48億9400万円
地域子ども・子育て支援への助成 20億5700万円
特別支援学校の分校設置    1億178万円
南東北インターハイの開催費  3億1940万円
全国高校総合文化祭宮城大会の開催費 2億5940万円

◎農林水産/販路の回復を後押し

 農地復旧などのハード事業が山を越え、震災で失った農林水産品の販路回復、他産地との差別化を図るブランド化といったソフト事業に重点を置いた。
 水産関係では、共同でブランド化を進める事業者への支援費として1000万円を計上し、販路の拡大を促す。国際的な食品衛生管理方式「HACCP(ハサップ)」の取得を目指す水産加工業者の支援策を新たに事業化し、880万円を盛り込んだ。
 来年度に試験作付けをする新品種の高価格帯米「だて正夢(まさゆめ)」の生産体制整備と、県産米ブランド化に9200万円を充て、デビューへの準備を本格化させる。6000万円をかけ、県内に点在する加工用ジャガイモなどの園芸作物産地の広域連携を後押しする。
 全国和牛能力共進会(全共)宮城大会の開催を9月に控え、県産肉用牛のPR事業を拡充、1億円を振り向けた。仙台牛のブランド力向上を目指して、次世代種雄牛に関する試験研究に1800万円を充てた。
 震災後、県内で増加している農業法人の経営安定化を支援する事業も新設。専門家を派遣し、経営をバックアップする費用として2300万円を計上した。

<主な事業>
直交集成板(CLT)普及推進費   1億4324万円
6次産業化トライアル支援費       1107万円
伊達いわな販路拡大・生産体制強化費   1000万円
金のいぶき生産拡大推進費        3250万円
県産品風評対策強化費        1億8600万円

◎福祉・医療/介護人材確保を支援
 人材不足が深刻な介護分野の支援を強化するため、新規事業としてマンションなど集合住宅の空きスペースを利用した介護推進の調査費に1100万円、外国人が介護福祉士の国家資格を取得するための学習支援に700万円を充てた。
 医療関連では、夜間や休日の救急相談電話の開設に2394万円。県民の日常的な健康づくり支援に2446万円を予算化した。国民健康保険を市町村と共同運営する準備費用に18億7536万円を計上した。
 東日本大震災の被災者が入居する恒久住宅の確保に向け、石巻市に県内3カ所目の転居支援センターを開設する費用などに1億2296万円を盛り込んだ。
 生活困窮者に対する支援として、食事の提供などに当たるフードバンク活動団体への助成に488万円、子ども食堂開設を後押しする相談体制の整備に313万円を配分した。

<主な事業>
地域包括ケアシステムの推進費   7157万円
東北医科薬科大医学生の修学資金貸与  30億円
被災者心のケアセンター運営支援 3億3900万円
災害公営住宅入居者らの健康支援 1億2207万円
介護人材確保推進費      3900万円

◎県、95議案提出へ 2月定例会

 県は10日、県議会2月定例会(17日開会)に提出する2017年度一般会計当初予算案など予算議案15件、条例議案15件、条例外議案65件の計95件を発表した。
 条例外議案では、東京電力福島第1原発事故に伴う損害賠償請求の和解仲介手続き(ADR)で、県職員の人件費支払いを含む和解案の受け入れを求める議案を提出する。


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2017年02月11日土曜日


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