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<全町避難>浪江解除 渦巻く不安 もどかしさ

国の担当者に意見を述べる町民=10日正午ごろ、大阪市中央区の大阪会館

 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県浪江町の避難指示の一部を3月31日に解除する政府の提案を巡る住民懇談会が10日、全ての日程を終えた。県内外10会場での発言からは、解除後も戻れないもどかしさや解除への不安など、町民の複雑な思いが浮き彫りになった。政府は町などと再協議し、解除日を最終判断する。
 懇談会は1月26日に始まり、仙台市や東京、大阪市を含む会場に延べ1249人が参加。政府と町は町内の除染や生活環境の整備状況を説明したが、第1原発の廃炉作業や避難計画に関する言及は乏しかった。
 最終日の大阪会場では、原発を不安視する声が上がった。兵庫県内に避難する女性は「(万が一の場合に)町に必要な情報が伝わらず、帰町した住民や町職員の健康が犠牲になるのではないか」と懸念した。
 簡単には帰還できない避難者からは、解除による町民の分断を心配する意見が出た。今月1日の福島市会場で、ある女性は「本当は浪江が好きなのに『古里を見捨てた』と思われてしまう」と語り、分断を防ぐ方策などを求めた。
 一方、早期解除を訴える町民もいた。町内で事業を再開した男性は町内会場(1月26日)で「避難区域の現状では、取引先から『行けない』と言われて荷物が満足に届かない。従業員の確保も厳しい」と明かした。
 各会場で目立ったのは放射線を巡る不安と国への不満だ。政府は「解除は帰還の強制ではない」と繰り返したものの、「なぜ高線量の町に帰れと言えるのか」との声はやまず、議論は擦れ違ったままだった。
 政府と再協議する馬場有町長は今月6日の南相馬市での住民懇談会後、「みんな戻りたくても戻れないもどかしさを抱えている。(ただ)古里を荒れたままにしておけない。町を残すのが行政の使命だ」と語った。


2017年02月11日土曜日


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