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<震災5年11カ月>被災農地77%営農可能

 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の農地計2万530ヘクタールのうち、77%に当たる1万5820ヘクタールで営農が可能になり、前年比で850ヘクタール増えたとの集計結果を東北農政局がまとめた。震災発生から11日で5年11カ月。福島県での営農再開の拡大と、3県産の農産物の販路回復が大きな課題になっている。
 各県の昨年11月時点の被災農地の状況はグラフの通り。津波による被害が最も大きかった宮城では被災農地の9割弱に当たる1万3120ヘクタールで営農が再開されるか、営農可能な状態になった。仙台や名取、岩沼各市では大区画化する圃場整備が進められている。
 岩手で新たに営農できるようになった農地は20ヘクタール。残る160ヘクタールのうち、8割を陸前高田市の農地が占め、街づくりの進み具合に影響を受けている。他市町村では小規模な農地が点在しており、新たに復旧した農地は多くなかった。
 東京電力福島第1原発事故の影響を受ける福島の復旧済み面積は、2016年度に営農が可能になった370ヘクタールを加えても4割にとどまる。避難指示区域内にある2120ヘクタールの先行きは見通せず、営農再開への道のりは厳しい状況が続いている。
 15年9月に避難指示が解除された楢葉町では、16年産水稲が19.5ヘクタールで作付けされた。17年産は40ヘクタール前後となる見通し。3〜4月に4町村で相次ぐ避難指示解除を控え、農政局は全町避難を経験した楢葉町での営農再開を「今後の試金石」(震災復興室)と位置付ける。
 福島での営農再開に関して、松尾元・東北農政局長は「県と連携し、農業収入を得ていた人を4月から個別に訪問し、再開の意思の有無を確かめる。結果をベースに、今後の施策の方向性を決めることになる」との見通しを示す。
 生産基盤の復旧に伴い、岩手、宮城の市町村別の農業産出額は震災直後から増加傾向にあるが、15年の産出額が震災前(06年)を上回ったのは岩手が3市村、宮城が2市町のみ。依然として、販路回復が進んでいない現状がうかがえる。
 農林水産省は農地の復旧・整備工事について、岩手、宮城で18年度、福島(避難指示区域を除く)で20年度の完了を目指している。
 松尾局長は「岩手、宮城全体の農業生産額は(震災前に)戻りつつある。震災前の水準を上回る生産環境が整った箇所もあり、人材確保と販路回復が営農継続への鍵になる」と話す。


2017年02月12日日曜日


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