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<復興庁5年>発想転換し施策展開

岡本全勝(おかもと・まさかつ)東大卒。1978年自治省(現総務省)に入り、東日本大震災復興対策本部事務局次長、復興庁統括官、同庁事務次官を歴任。2016年6月から震災復興担当の内閣官房参与。62歳。奈良県出身。

 東日本大震災の被災地再生を担う復興庁は、発足から5年が経過した。「司令塔」の機能やインフラ復旧、生活再建に果たした役割への評価、今後の課題について、復興庁の岡本全勝前事務次官に聞いた。

◎司令塔 評価と課題(下―1)前復興庁事務次官 岡本全勝氏に聞く

 −復興庁の5年間の取り組みをどう評価するか。
 「全体的に及第点をもらえると思う。職員が何度も被災地を訪れ、被災者と首長の意見を聞き、信頼関係を築いた。インフラ再建に限定された従来の災害復旧から踏み込み、産業、コミュニティーの再生も担った」
 「国が手を出さない分野や省庁間の隙間を埋めた新たな施策は、霞が関の司令塔、調整役として機能した証しではないか。グループ化補助金はコペルニクス的な発想転換であり、東京の大手企業と被災地の企業をつなぐ民間コンサルタントのような役割も果たした」

 −限界もあったのでは。
 「防潮堤を急いで完成させたら、後背地に守るべき民家が高台移転でなくなっていたケース。防潮堤、高台移転ともに全額国費の負担だった。もし少しでも地元負担があれば、県や市町村が状況を見極め、防潮堤をやめる意見が出たかもしれない。これが地元負担を導入したきっかけだ」

 −被災地の首長からは、集中復興期間の5年が過ぎ、交付金の査定が厳しくなったとの声が出ている。
 「方針は変えていない。高台移転が終わり、ほかの事業もしたくなる気持ちは分かるが、被災地外の工業団地建設などには一定の線を引いている。復興特別会計は国債の借金を増税で返済する方式。事業は納税者に説明がつく内容でなければならない」

 −復興庁は2020年度までが設置期間だが、その後、復興を担う組織はどうなるのか。
 「あくまで個人的な意見だが、福島に特化した後継組織は必要だ。原発事故は国の責任。岩手、宮城はほぼ復興が終わる」

 −過疎化が進む中、巨費を投入しての高台移転に将来を懸念する声がある。
 「離島から山奥まで道路、上下水道、学校を整備したのが、戦後の日本という国のかたち。憲法には書いていないが、上位概念にあると思う。どこに住んでも普通の暮らしをさせることが戦後の行政。東日本大震災の復興は、その延長線にある。費用対効果で測れない、国のかたちだ」
(聞き手は東京支社・中村洋介)


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2017年02月12日日曜日


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