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<タリウム事件>他人の人生狂わすのは面白い

 元名古屋大女子学生の裁判員裁判で、元名大生は9、14の両日にあった被告人質問で、仙台市内の私立高2年だった2012年、中高の同級生男女2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとされる事件の動機などを詳述した。要旨は次の通り。

【中学生〜事件まで】
 中学1年の時、父から毒キノコの話を聞いた。種類や致死量を調べ、人に食べさせたいと思った。その後、神戸市の連続児童殺傷事件や仙台市の筋弛緩(しかん)剤点滴事件、地下鉄サリン事件などを調べた。
 化学の成績が良く、高校1年の冬ごろ、毒劇物に興味を持った。硫酸タリウムを含む薬品7種類を12年夏までに購入した。理由は「コレクション」と「人への投与」が半々。見ているだけでうっとりする。ぼんやりと「誰かに投与したい」と考えていた。高校には3種類を持ち込んだ。同級生に「すごくまずいからなめてみて」と硫酸銅をなめさせた。自分でも亜硝酸ナトリウムなどをなめた。
 同4〜5月、鎮痛剤や酔い止めを20〜40錠一気飲みし、体の反応を試した。先生に注意された。同じ頃、カミソリで腕に深さ1〜2ミリの切り込みを入れた。皮膚の断面を見たかった。
 同3月頃、静岡県伊豆の国市の女子高校生による05年の母親殺害未遂事件を知り、タリウムや化学犯罪に興味を持った。当時の自分と同年齢の元少女に共感を覚えた。硫酸タリウムは12年5月20日に購入。「これで人を殺せるかも知れない」と魅力を感じ、翌日から瓶を肌身離さず持ち歩いた。買ったことを妹に教え、同級生も知っていた。

 【小中学校の同級生女性(21)に対する事件】
 同5月27日、女性に硫酸タリウムを飲ませることを決めた。とても仲が良く、呼び出しやすかった。「転校する。会えるのはきょうが最後」とうそをついた。カラオケ店のトイレに行った際、飲み物にタリウムを入れた。目的は中毒症状の観察。殺害目的の「毒殺」とは別。死ぬかも知れないとは思わなかった。
 女性の症状をメールで聞き、観察した。脱毛や手足のしびれがあると分かり、興奮した。「見舞いに来て」とメールがあり、観察しようと行った。犯行がばれておらず安心した。

 【高校の同級生男性(20)に対する事件】
 同5月28日の朝までに男性にタリウムを飲ませることを決めた。女性に飲ませ、テンションが上がった。別の同級生男性も候補だった。前日に薬さじ代わりに買った耳かきで何回もすくい、うっとりした。男性は隣の席で観察しやすそうだと思った。男性のペットボトルに硫酸タリウムを耳かき3杯分、目分量で0.8グラム入れた。
 タリウムは1グラムで成人が全員死ぬ量らしいが、当時は半数が死ぬ量と認識していた。0.2グラムで死亡例があることは知っていた。男性が飲んでくれて満足感を得た。男性が会員制交流サイトに中毒症状を書き込んでいると知り、偽名で登録した。男性に脱毛や視力低下などの中毒症状が出ていることを確認、記録した。
 同7月17日から男性が再登校し、説明しにくい恐怖を感じた。2日後、2度目の投与(0.4グラム)をした。初回分はほぼ排出されただろうし、人間はタリウムに耐性ができるのではと思い、再投与による反応を知りたかった。
 家族は対象にしなかった。静岡の事件は身近な母親に投与して犯行が発覚したから。また、硫酸タリウムは発症に必要な量が0.1グラムと著しく少なく、自分で飲んで気持ち悪くなるのは嫌だと思った。

 【2人に投与後】
 同5月30日、無人の教室で仲が良かった別の同級生女性の水筒に硫酸タリウム約0.8グラムを入れた。振っても溶けず、その場で水筒が入っていたリュックの中に捨てた。無関係を装い、一緒に片付けた。
 父親に薬品が見つかり、同5月31日ごろ仙台北署から事情聴取された。「化学実験のため」と話し、うまくごまかした。同6月上旬、自分の行為は違法で、逮捕されると思うようになった。山形まで逃走する準備をした。自首することが頭をよぎったが、怖くてできなかった。2人の症状を記録した実験ノートは友達に見られそうになり、同7月上旬ごろ捨てた。証拠隠滅目的ではない。
 妹に「他人の人生を狂わすのは面白い」と冗談でメールを送った。男性の人生を狂わせた自覚はあった。

 【現在】
 被害者の考えを知り、反省しなければと思うが、反省という言葉がぴんとこない。押収されたタリウムや塩化バリウムなどは返してほしいが、また人に投与してしまう不安もある。


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2017年02月15日水曜日


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