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<イケメン若旦那>「人」に焦点 苦境と闘う

こけし工人の陳野原さん(左)と笑顔を見せる渡辺さん

 立春は過ぎたが、まだまだ寒さ厳しい季節。東北各県には、身も心も癒やされる温泉地や湯煙の宿が数多くある。顔に限らず、心意気、行動力でも魅力的な「イケメン」の若旦那たちに、自慢のご当地を案内してもらおう。

◎温泉地を行く(4)土湯温泉(福島)

<ブームの源泉>
 安達太良連峰に向かう福島市郊外の土湯温泉は「若旦那ブーム」の源泉地だ。地元の観光協会などが2014年、「若旦那図鑑」を発行。イケメンたちが盛り上げる温泉街として知名度を高めた。
 渡辺樹璃案(じゅりあん)さん(28)はその一人。家族で営む山根屋旅館は1921(大正10)年創業の老舗だ。
 温泉街にはいくつも源泉がある。街並みから約2キロの場所には単純泉の共同源泉。その他に旅館がそれぞれ独自の源泉を持つ。
 「宿ごとに泉質が異なる温泉を楽しめる。うちは2カ所の自家源泉からくみ上げる掛け流し風呂が自慢」と渡辺さんは説明する。
 土湯は言わずと知れた「こけしの里」。鳴子(宮城県大崎市)、遠刈田(同県蔵王町)と並ぶ東北三大こけしの一角を担う。
 渡辺さんら地元住民も幼いころから絵付けなどに親しんできた。頭頂の蛇の目や胴のしま模様などが土湯こけしの特徴。温泉街には東北各地のこけしも展示する土湯見聞録館などがある。

<「こけ女」人気>
 温泉街にある工房の一つへ。こけし工人の陳野原(じんのはら)幸紀さん(69)はもちろん、渡辺さんと顔なじみ。最近は「こけ女」と呼ばれるこけしファンの女性が福島県内外から買い求めに来るという。
 「癒やしの要素が受けている」と陳野原さん。ニーズに応じて既成概念にとらわれないデザインにも挑戦しており、「形を受け継ぐ伝承だけでなく、新しさを加えていく伝統も大切にしたい」と語る。
 土湯温泉は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の風評の影響を受けてきた。観光客は減り、6軒の旅館が休廃業となった。
 若旦那図鑑の発刊もこうした苦境に立ち向かうため。旅館の後継者らと福島市内の学生たちが共同で企画、デザインした。「土湯でしか会えない『人』に焦点を当てようと作った」と渡辺さんは振り返る。
 温泉街では新たなプロジェクトが進む。集客施設を整備する事業で、建て替え工事が始まった公衆浴場「中の湯」が2018年春にはオープンする予定だ。
 渡辺さんらは週1回程度、温泉街で「若旦那バー」も開いている。「ここにしかない温泉地を目指し、仲間と協力して新しい土湯をつくっていきたい」
(福島総局・阿部真紀)

[メモ]土湯温泉はJR福島駅からはバスで約45分、東北自動車道福島西インターチェンジから車で約15分。磐梯朝日国立公園内に位置し、周辺には吾妻小富士などの観光スポットがある。土湯温泉観光協会によると、旅館は17軒、共同浴場は建て替え中を含め2軒、足湯は4カ所。連絡先は同協会024(595)2217。


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2017年02月15日水曜日


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