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<イケメン若旦那>秘湯の風情 守り続ける

古き良き伝統を残す鶴の湯温泉入り口に立つ佐藤さん

 立春は過ぎたが、まだまだ寒さ厳しい季節。東北各県には、身も心も癒やされる温泉地や湯煙の宿が数多くある。顔に限らず、心意気、行動力でも魅力的な「イケメン」の若旦那たちに、自慢のご当地を案内してもらおう。

◎温泉地を行く(6完)乳頭温泉郷(秋田・仙北)

<絶品 山の芋鍋>
 秋田県仙北市の北東部、岩手県境に近い乳頭山(1478メートル)の山麓に、乳頭温泉郷はある。かやぶき屋根の旅館に、ブナの原生林に囲まれた露天風呂−。日々の生活に追われる身にとって、その光景は秘湯と呼ぶのにふさわしい。
 「乳頭温泉郷では、江戸時代から続く風景と地域の自然を大切にしています」と鶴の湯温泉の若旦那、佐藤大志さん(43)が笑顔で教えてくれた。
 鶴の湯温泉は秋田藩主佐竹義隆が1638(寛永15)年に湯治に訪れた記録が残るなど、この温泉郷の中で最も歴史がある。
 案内されたのは、かやぶき屋根の「本陣」。五つある客室の入り口にランプがともり、10畳の和室にはいろりが切られている。「時間を忘れてくつろいでもらうため、客室にはテレビや時計を置いていません」と佐藤さんは言う。
 いろりの火に当たりながら味わえるのが、ナガイモに似た地元特産の「山の芋」をすりおろして団子状にし、山菜と共にみそで煮込んだ「山の芋鍋」。ふわふわとした食感の山の芋は絶品。身も心も温まる。
 続いて自慢の露天風呂に案内された。敷地内に泉質の異なる4種類の源泉が湧く。中でも「白湯(しろゆ)」は「美人の湯」と呼ばれ、美白効果があるとされるなど女性の人気が高い。「冬は雪見風呂もいいですよ」と佐藤さん。

<細かな気配り>
 乳頭温泉郷には、鶴の湯温泉を含む8軒の旅館、七つの温泉が点在する。徒歩では難しい秘湯巡りの味方が、各旅館の宿泊者だけが購入できる「湯めぐり帖(ちょう)」(税込み1800円)だ。
 冬季休業中の黒湯温泉を除く六つの温泉に入浴できるほか、各温泉を巡回するマイクロバス「湯めぐり号」に乗車が可能だ。バスは2009年、各宿の代表で構成する乳頭温泉組合が運行を始めた。同組合長で休暇村乳頭温泉郷の竹内貴祐支配人(50)は「温泉はそれぞれ泉質や香り、趣が異なる。その違いを肌で感じながら湯巡りを楽しんでほしい」と話す。
 佐藤さんは「忙しい毎日を忘れて非日常を味わえるのが乳頭温泉郷」と語る。快適に過ごしてもらうため、いずれも建物はそのままに、客室の手入れは怠らない。「何もしないと、素朴さは雑に変わってしまうから」と佐藤さん。細かな気配りをしながら、歴史ある名湯を守り続けている。(秋田総局・藤井かをり)

[メモ]乳頭温泉郷は最寄り駅がJR田沢湖駅で、車なら東北自動車道の盛岡ICから約1時間。同温泉は同駅から羽後交通バス「アルパこまくさ」で下車後、鶴の湯温泉の送迎バスに乗車(要連絡)。「湯めぐり号」は鶴の湯温泉から蟹場温泉に向かう便と折り返しの便があり、冬期間はそれぞれ1日5便。25、26日は「田沢湖高原雪まつり」が田沢湖スキー場で開かれる。


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2017年02月17日金曜日


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