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給食に手作りみそ提供30年 加工組合が解散

若い生産者(左)に、こうじの作り方をアドバイスする加工組合の会員ら

 宮城県大崎市田尻地区の学校給食に30年にわたって手作りみそを供給してきた桜田味噌(みそ)加工組合が今月、解散する。掛地レイコ会長(79)は「発足当初は20人いた会員も、今は私を含めて3人。製法にこだわったため、若い後継者が育たなかった」と寂しく語る。しかし、発酵菌がすみ着いたみそだるは県内外の生産者に引き取られ、会員らの思いを各地に伝える。

<学校給食に採用>
 組合は1986年ごろ、同市田尻桜田に住む農協婦人部のメンバーが「伝統製法で、安全でおいしいみそを造ろう」と設立。学校給食に採用された後は、「みそを造ってハワイに行こう」を合言葉に生産に励んできた。
 1月末〜3月上旬の仕込み期間は、1日に地場産の大豆と米各75キロを、まきで炊き上げた。会員は「ガスの火と違い、豆や米にむらなく熱と水分が回り、みその香りが引き立つ」と口をそろえる。無添加で仕上げたみそは幼稚園1施設と小中学校計4校の給食用となり、一部は地域の物産店で販売された。
 組合設立から数年で、念願のハワイ旅行を実現。会員の斎藤栄子さん(83)は「仲間とあれこれ話しながら働くのが楽しかった」と振り返る。斎藤節子さん(76)は「学校給食に危ないものは出せない。田尻の子は皆、桜田のみその味を知っている」と言う。

<会員減少3人に>
 高齢化で会員数が減り、顔がすすで真っ黒になる製法が若い世代に嫌われ、気が付けば3人に。昨年12月、「解散し、22個あるみそだるは焼却しよう」と話がまとまった。
 節子さんの娘の友人で、仙台市で小学校の非常勤講師をしている細井圭子さん(50)が解散話を聞き、「木のたるは今や貴重品で焼却するのは惜しい。みそを造る人に無償で譲りたい」とフェイスブックに投稿したところ、希望者が続々と現れた。
 「マレーシアや鹿児島県の屋久島からも引き合いがあった。誰に譲るかは、掛地さんたちが希望者から話を聞き、みそ造りへの思いを確かめて決めた」と細井さん。多くは宮城、山形両県にもらわれていったが、石川県からトラックで取りに来た夫婦もいた。
 今月4日、たるを2個引き取った角田市の農業佐藤裕貴さん(38)は「日本の食文化を海外に発信したい。このたるで早速、仕込みに取り掛かる。掛地さんたちの思いを伝承したい」と語った。


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2017年02月18日土曜日


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