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耐震改修3棟止まり 高齢化で合意形成困難

仙台市内のマンション。旧耐震基準で建てられた物件の多くで改修が進んでいない(写真と本文は関係ありません)

 仙台市のマンションの耐震改修が遅れている。1981年5月末以前の旧耐震基準で建てられた市内のマンション210棟のうち、改修済みは市が把握する限りで3棟にとどまる。区分所有者の高齢化で費用負担や合意形成が難しくなっており、専門家は改修を促す助成制度の拡充や管理組合への積極的な働き掛けを訴える。
 国土交通省によると、旧耐震基準のマンションは震度6強〜7の大規模地震で崩壊や倒壊の恐れがある。市は市内210棟の約半数が実施した図面などに基づく予備診断の傾向から、9割程度の物件の耐震性能に疑問があるとみている。
 市は2011年度、耐震改修費用の助成制度を東北で初めて設けたが、利用実績は11、12の両年度が各1棟で、13年度以降はゼロ。制度新設前に独自に改修した1棟を加え、「改修済みは3棟」(住宅政策課)との認識だ。
 助成制度がある17政令市の実績を見ると、1戸当たりの改修費用は、柱の補強など比較的小規模な工事でも十数万円。建物の外側に鉄骨などの耐震フレームを付ける工法になると、数百万円に跳ね上がる。
 耐震改修の実施には管理組合の総会決議が要るが、区分所有者の話し合い自体も困難になっている。青葉区のマンション管理組合の男性理事長(80)は「年を取って部屋に住まなくなったり賃貸に出したりする人が増え、理事会に数人しか集まらない」と嘆く。
 宮城県内の官民組織「マンション管理支援ネットワークせんだい・みやぎ」の渡辺俊弥耐震化促進部会長は「古いマンションの住民は高齢化で経済力が低下し、改修を諦めている」と指摘。改修を促すため「補助金支給のハードルを下げるべきだ」と訴える。
 仙台市の助成対象は分譲マンションに限られるが、北九州など10政令市は賃貸を含む。段階的な改修は対象外としている仙台市に対し、京都、神戸両市は、主に梁(はり)と柱で支えるピロティなど構造の弱い箇所を先に改修する場合でも助成する。
 仙台市の担当者は「助成はあくまでも市民が住まいとして所有する物件に限る」と強調。段階改修の補助も「耐震性能は建物全体で判断する必要があるため、難しい」と消極的だ。
 市などによる耐震改修の啓発はセミナー開催やチラシ配布にとどまる。宮城県建築士会の大竹雅之副会長は「住民同士で話し合うワークショップなど、より踏み込んだ仕掛けが必要ではないか」と話す。


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2017年02月19日日曜日


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