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<秋田杉復権へ>若者就業手厚く支援

伐採した跡地を大型作業車を使って整地する秋田林業大学校の2年生=2016年11月、秋田市河辺の県林業研究研修センター

 林業県の秋田は木目の美しい「天然秋田杉」で知られた。近年もスギの人工林面積が全国1位の36万7000ヘクタール(2012年)、丸太生産量が同2位の107万立方メートル(14年)と全国有数だが、天然秋田杉の供給が自然保護を目的に2013年3月末で停止されてからは他産地に対する優位性がなくなっている。産地間競争が激しさを増す中、人材育成や人工杉の販路・用途の拡大を目指して模索を続ける県内の林業・木材産業の動向を探った。(秋田総局・渡辺晋輔)

◎林業県の挑戦(上)研修機関

<3割が65歳以上>
 昨年11月30日、秋田市河辺の秋田県林業研究研修センター内の杉林で、県の研修機関「秋田林業大学校」=?=の2年生18人が、6台の大型作業車を使って伐採した跡地を整地した。小雨で地面がぬかるむ中、残った枝などを作業車の大きな爪でつかんで集め、バックホーで平らにした。
 林業の現場は、機械化が進む。同センター研修普及指導室の宮野順一主幹は「山の作業は単独事故が多いため、機械と多様な環境に慣れてもらう」と研修の狙いを話した。
 林業大学校は2015年4月、若い林業従事者を育てるため北海道・東北で初めて開設された。山で使う作業機械の操作や木材加工、森林管理といった幅広い知識を学ぶ。今春には、初の修了生18人が秋田県内の林業や木材産業関連の企業などに就職する。
 林業大学校設置の背景にあるのが、県内の林業従事者の高齢化だ。県森林整備課によると、10年の総従事者は1890人。1985年の5675人から約3分の1に減った。一方で65歳以上の割合は、85年の4%から2010年は29%にまで増えた。

<「定着率上がる」>
 林業への就業を希望する若者のため、林業大学校は業界の全面協力を得て支援態勢を組む。県森林組合連合会や機械メーカーなど18の業界団体・企業がサポートチームを結成し、年に1、2回、山林や製材工場などでインターンシップを行っている。こうした取り組みは全国でも珍しい。
 宮野さんは「森林造成や木材生産といった『川上』から、加工販売の『川下』まで、それぞれのプロが実践的な指導をしてくれる。心強い存在だ」と語る。
 製材工場を営む門脇木材(仙北市)もサポートチームの一員だ。今春、研修生3人を採用する。門脇桂孝代表は「研修生は林業に関心があるため、ゼロから育てるよりも定着率が上がる」と期待する。木材価格の長期低迷により生産現場の一層のコスト低減が求められる中、「これからの林業には若い人の発想が不可欠だ」と話す。
 3月に研修を終える佐々木瞬さん(26)=秋田県羽後町出身=は首都圏の自動車工場で働いた後、地元に戻ることを決め、未経験だった林業に飛び込んだ。
 今春、湯沢市の雄勝広域森林組合に就職する。林業を「格好いい仕事」と表現する佐々木さん。「先人が後世の人を思って植えた木で地域貢献ができる。仲間と頑張りたい」と力を込めた。

[秋田林業大学校]秋田県林業研究研修センター内に施設があり、2学年制で1学年の定員は18人。30歳未満が対象で、推薦と一般選考がある。県外を含めた応募総数は2015年が32人、16年は25人。年間の研修日数は204日。2年間で県林業技術管理士など10の資格を取得できる。


関連ページ: 秋田 経済

2017年02月19日日曜日


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