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<手腕点検>聞く耳重視 対応ソフト

宮城農高生らが開発したミルクジェラートを試食する山田市長=1月23日、名取市役所

◎2017宮城の市町村長 名取市 山田司郎市長

 「聞く耳と対話で東日本大震災からの復興を加速させる」。昨夏の名取市長選で山田司郎市長(53)を初当選に導いたフレーズだ。
 被災した閖上地区の現地再建を強力に推し進めた佐々木一十郎(いそお)前市長(67)との違いを強調。再建方針を巡りくすぶり続けた市民の不満の受け皿となり約6000票の大差で勝利、2期務めた市議から転身した。
 「嫌な相手でも嫌な話でも、とにかくよく聞く」。市幹部が山田氏の姿勢を明かす。前市長のトップダウンからボトムアップ方式に意思決定方法を変えて、風通しを良くしたいという考えも相まって、市民から「役所の雰囲気が明るくなった」との声が寄せられる。
 市父母教師会連合会の丹野秀明会長(44)も山田氏について「とてもソフトで話しやすく、いろんな場所に顔を出して一生懸命取り組んでいる」と評価する。

<感情むき出しに>
 その山田氏が、珍しく声を荒らげる場面が12月の市議会議員協議会であった。
 「何をもって公平とするかという基準はない。答えられません」
 議題は閖上地区に戻りたくない被災者向けに内陸部の名取が丘地区に災害公営住宅33戸を整備する方針。前市長の現地再建方針と相反する山田氏の重点公約の一つだが、それぞれ事情が異なる被災者間の公平性を議員から繰り返し追及され感情をむき出しにした。
 質問した荒川洋平議員(35)は「熱意は分かった」としつつも、山田氏が議員時代に現地再建に賛成した経緯を問題視。「方針転換の理由を何度聞いても『一人でも多く救いたい』ときれいな話しかしない。人当たりは良くとも腹の内を見せないから議会対応がうまくいかない」と指摘する。
 議会への説明なしに復興庁などと調整に入ったことも不評を買い、議員19人(議長を除く)の賛否は当初、1対18。山田氏と市幹部が水面下で説得工作に奔走し、関連議案を提出した1月の臨時会当日の朝にようやく9対10まで持ち込んだが及ばず否決された。

<現実路線望む声>
 「大風呂敷」に「夢物語」…。山田氏の公約は選挙期間中から実現可能性が疑問視されてきた。
 学校給食費の段階的無料化や、東北電力が所有する被災した名取スポーツパークの再開、さらには仙台市地下鉄南北線の南進など、多額の経費を必要としたり、事業主体が市でなかったりするものもある。
 郷内良治議長(65)は「4億円かかる給食費無料化より、救急車さえ通れない狭い道路を直す方が先だ。市民が本当に困っていることを見つけ、議会と手を携えて実現するのが首長だ」と苦言を呈し、公約に固執せず1期4年で達成できる現実路線を求める。
 就任から半年余り。市民は山田氏が公約を実現するため、次の一手をどう繰り出すかじっと見詰めている。ソフトなイメージだけでなく、練り上げられたプランと説得力をもって議会と対話する時期に来ている。(岩沼支局・桜田賢一)


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2017年02月20日月曜日


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