宮城のニュース

<仙台空港民営化半年>二次交通積極PR必要

会津若松行きの高速バス。乗客はまばらだ=10日

 仙台空港は、昨年7月の民営化から半年余りが過ぎた。格安航空会社(LCC)が就航した台湾便を中心に海外からの利用は増加。二次交通の整備も進み、福島・会津若松、松島・平泉などへの高速バス路線が次々と開設されている。だが、バスの乗車率は低く積極的なプロモーションは急務だ。航路の維持に不可欠な日本から海外への利用客数を伸ばす努力も求められる。(報道部=安住健郎)

 週末を前にした今月10日の仙台空港は1階の到着口こそ混み合っていたが、外のバス停は閑散としていた。午後1時55分発の福島・会津若松行きは、乗客がわずか6人。出張で札幌市から福島市に向かう男性会社員(34)は「同僚に聞くまで存在を知らなかった。便利だし、もっと宣伝すればいいのに」と首をひねった。
 バスは昨年11月に運行を始め、JR福島駅−空港間を1時間55分で結ぶ。所要時間は新幹線利用より30〜40分程度長いとはいえ、運賃は1500円で乗り換えもない。荷物を抱えた旅行客には便利なはずだが、「利用者は1便当たり多くても10人ほど」(仙台空港)。今年1月に開設された松島と平泉を結ぶ周遊バスも低迷が続いている。
 その根底にはPR不足がある。仙台空港を運営する仙台国際空港(名取市)の岡崎克彦取締役営業推進部長は「バス路線の認可の関係上、空港として告知を始めたのは運行開始から。事前にできなかったのが痛かった」と話す。松島・平泉線は空港のホームページを見ても外国語のページがない。知らずに素通りする外国人観光客も多いのではないか。
 今年1月の国際線旅客数は2万5000人で昨年から倍増した。中国の正月に当たる春節(今年は1月28日)では、LCCのタイガーエア台湾が毎日臨時便を運航し、空港は外国人観光客であふれた。
 海外を旅した経験がある人なら誰でも感じたことがあると思うが、初めての地で不安なのは目的地までの足だ。安心して東北を旅してもらうための第一歩は、分かりやすい情報の提供だろう。
 二次交通の整備などで空港の利便性を高め、インバウンド(訪日外国人旅行者)を呼び込むと同時にアウトバウンド、つまり海外へ向かう日本人客を増やすことも忘れてはならない。
 外務省によると、人口1000人当たりのパスポート取得数(2015年)は宮城県が158枚で全国31位、福島は37位。山形、岩手も40位台で、残念ながら東北からのアウトバウンドの動きは今も鈍い。
 LCCの就航で海外旅行はより身近になった。台北線の最も安いチケットは7000円台。新幹線で東京に行くよりも安く本場の小籠包が食べられる時代だ。7月には国内LCCのピーチが仙台を拠点化し、国際線を就航させる方針。選択肢はますます増える。
 「交流人口の拡大」という言葉をよく耳にする。インとアウトという双方向の流れがあってこそ交流は成り立つ。自治体も含め空港や航空会社、旅行業者が一体となって需要を掘り起こす取り組みが不可欠だ。

[仙台空港の二次交通]JR福島駅経由会津若松行きの高速バスは1日3往復。松島海岸行きは1日5便で、うち1便は平泉に、うち2便は奥松島にそれぞれ乗り換えなしで向かう。安比高原(八幡平市)や蔵王温泉(山形市)、遠刈田温泉(宮城県蔵王町)行きのバスもある。3月からJR東日本のダイヤ改正に合わせてアクセス線(仙台空港−仙台)が3往復増便されるほか、4月からは酒田、鶴岡両市や山形市と空港を結ぶバス路線が開設される。


関連ページ: 宮城 経済

2017年02月20日月曜日


先頭に戻る