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量子科学センター 青森県の整備未着手

3月に完成予定の青森県量子科学センター

 原子力分野の人材育成や研究開発拠点を目指し、青森県が同県六ケ所村に10月に開設する「県量子科学センター」を巡り、県の運営を危ぶむ声が出ている。センターは最新機器を備え、がんなどの新たな治療法や新薬の研究開発を主要事業に据える。県による安全管理体制や倫理規定が不可欠だが、整備は未着手。専門家は「開設に間に合うのか」と不安視する。
 施設の目玉は原子核を放射性物質に変える「サイクロトロン加速器」や陽電子放射断層撮影装置(PET)などの機器。開設後、大学や研究機関に有料で貸し出す。施設は既に9割が完成。総事業費約58億円で、国の交付金を充てた。
 機器は異なる研究者が日替わり、週替わりに使うことを想定する。ただ運営の土台となる、研究に関する安全対策や倫理規定は進んでいない。
 青森市で14日にあった有識者による施設運営検討委員会では「事故が起こった場合の責任がはっきりしていない」「命に関わる研究では、動物実験を含めて倫理規定をしっかりすべきだ」との意見が相次いだ。
 県エネルギー総合対策局の八戸良城局長は「万が一の際の責任は県にある」と明言した上で、外部委員会を早急に設ける考えを強調。その上で「県としても初めての事業で手探り状態。開設当初からフル回転とはいかない」と釈明した。
 施設の基本計画案には「高レベル放射性廃棄物から放射性同位元素を分離する技術研究」を盛り込んだ。日本原燃など原子力関連施設が集中する六ケ所村の地の利を生かす狙いがあるものの、当面は事前研究にとどまる見通しだ。
 業務の主軸となる医療・新薬研究に手を挙げた村内の事業者は現段階でゼロ。「医療分野は正直言って縁遠い」(日本原燃幹部)との声も漏れる。
 検討委の長谷川晃委員長(東北大大学院教授)は「需要の多い医療関連の研究を受け入れることで運営資金を確保できる。行政主導の箱物からの脱却を目指す」と期待を込める。施設は3月に完成する。開設までに解決すべき課題は多い。


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2017年02月20日月曜日


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