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<秋田杉復権へ>製材用 首都圏でPR

秋田県内の製材会社など20社が県産材を販売した「秋田材展」=2016年10月、埼玉県戸田市(秋田県提供)

 林業県の秋田は木目の美しい「天然秋田杉」で知られた。近年もスギの人工林面積が全国1位の36万7000ヘクタール(2012年)、丸太生産量が同2位の107万立方メートル(14年)と全国有数だが、天然秋田杉の供給が自然保護を目的に2013年3月末で停止されてからは他産地に対する優位性がなくなっている。産地間競争が激しさを増す中、人材育成や人工杉の販路・用途の拡大を目指して模索を続ける県内の林業・木材産業の動向を探った。(秋田総局・渡辺晋輔)

◎林業県の挑戦(中)販路拡大

<生産能力3割増>
 昨年4月の火災で全焼した合板メーカー秋田プライウッド(秋田市)の向浜第2工場(同市向浜)に14日、最新設備を導入した待望の生産ラインが完成した。合板の生産能力は月1万3000立方メートル。火災前より3割向上するため、秋田県内の林業関係者の期待は大きい。
 同社は2003年以降、向浜第1工場(同)と向浜第2工場、男鹿工場(男鹿市)で、合板の内側に使う木材に関しニュージーランド産から県産スギ中心の国産へ転換を進めてきた。
 火災前、3工場で月約4万5000立方メートルだった国産材の使用量を、向浜第2工場復旧後は5000立方メートル上積みする。計約5万立方メートルのうち約9割が県産材。渡辺一徳専務は「将来は製品輸出も視野に入れる」と一層の活用を目指す。
 県内のスギの丸太生産量は、03年の53万8000立方メートルから、14年は107万9000立方メートルに倍増。広葉樹を含めた総量121万7000立方メートルの9割を占める。総量を用途別に見ると、木材のランクでB材と呼ばれる合板向けが7万立方メートルから56万5000立方メートルに急増したのに対し、A材の製材向けは47万2000立方メートルから50万立方メートルへと微増にとどまる。いずれもスギが大半だ。
 秋田県森林組合連合会によると、合板向けの生産割合は全国でも突出して高い。秋田プライウッドのような大規模な合板工場があるためで、合板業界が需要を下支えしている。
 スギの県内価格は、製材向けが1立方メートル当たり平均1万〜1万2000円なのに対し、合板向けは長さ4メートルで9000〜1万円にとどまる。それでも合板向けが伸びる背景について、同連合会の安田浩参事は「合板工場は多少欠点のある木材も受け入れるため、多少の価格差であれば合板に流れやすい」と解説する。

<コスト抑制必要>
 県は丸太生産量をさらに拡大させる方針を掲げる。実現の鍵を握るのが、伸び悩む製材用の需要拡大だ。
 製材向けの伸び悩みは、有力な取引先を抱えていた製材工場の減少などが要因とされ、「国内市場で県産材の占める割合は減少傾向にある」(県林業木材産業課)。県は需要を掘り起こそうと、13年以降、県内の製材業者に呼び掛けて首都圏で県産材のPR活動や販売展示会を展開している。
 本荘由利森林組合(由利本荘市)も首都圏での活動に参加したのをきっかけに販路開拓を本格化させた。組合はスギ丸太を年9万〜10万立方メートル生産。うち合板向けは約3万立方メートル、製材向けは約2万立方メートルだ。
 小松佳和組合長は「現在の製材向け単価は安過ぎる。価格が上がればいくらでも出荷できる」と課題を指摘。その上で「生産コストを抑制して競争力を付け、販路を広げるしかない」と現状打開に意欲を燃やす。


[木材のランク] 木材を品質や用途で分類しており、A材は製材、B材は合板や集成材、C材はチップなどの用途で使われる。D材は未利用材で伐採後は山に残されていたが、木質バイオマス発電の燃料として利用拡大が期待されている。


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2017年02月20日月曜日


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