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<タリウム事件>責任能力の主張対立

名古屋大の元女子学生の初公判で、傍聴券抽選のため名古屋地裁前に並ぶ人たち=2017年1月16日

 名古屋市で知人の高齢女性を殺害し、仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大女子学生(21)=仙台市出身、事件当時未成年=の裁判員裁判第15回公判が20日、名古屋地裁で開かれ、最大の争点となっている責任能力について審理が始まった。検察側は「完全に認められる」と主張し、弁護側は「なかった」と反論した。
 検察、弁護側ともに、元名大生が抱いた「人の死」や「人体の変化」に対する強い興味が各犯行に結び付いたとの認識で一致。一方、精神障害の程度については双方の主張が対立した。
 検察側は、元名大生は発達障害の一種のアスペルガー症候群で興味・関心が著しく偏り、他人の心情を理解するのが困難と指摘。そううつ病なども重なった点を認めつつ「障害の影響は限定的だ。各犯行は計画的で自らの意思に基づく。行為の違法性も認識し、証拠隠滅などもしていた」と強調した。
 弁護側は、先天的な精神発達上の障害の影響を受けていたとして(1)共感性の欠如(2)限定された対象への異常な執着(3)思い付きで即行動−などの特徴を説明。「そう状態下では、行動をコントロールできなくなる。障害の影響は重大で、各犯行時は心神喪失状態だった」と主張した。
 元名大生はこれまでの公判で「殺害は犯行の1週間前に決めた」「人に投与する目的で薬品を購入した」などと供述し、各事件前後の記憶を鮮明に語った。一方で「気分の波があり、『殺さずにはいられない』などの強い気持ちがあった」「反省という言葉がぴんとこない」とも述べた。
 14回の公判では殺人、劇物混入、放火未遂など6件の起訴内容を個別に調べてきたが、有罪、無罪を左右する責任能力は分離して審理する。22、23日は精神鑑定を行った3人の医師が出廷し、元名大生の精神状態を説明する。

[責任能力](1)行為の是非を判断する能力(2)行動を制御する能力−の程度で判断される。事件当時、いずれかの能力が全くなかった場合は「心神喪失」とされ、刑法上は責任無能力者として処罰されない。著しく低下していた場合は「心神耗弱」として刑が減軽される。精神科医が面接で当時の精神状態を判断するが、結論は裁判所が出す。


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2017年02月21日火曜日


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