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<秋田杉復権へ>CLT需要拡大 期待

既存の設備を活用してCLT製造設備を整えた相沢銘木。今後の市場拡大を見越した取り組みだ=1月、能代市

 林業県の秋田は木目の美しい「天然秋田杉」で知られた。近年もスギの人工林面積が全国1位の36万7000ヘクタール(2012年)、丸太生産量が同2位の107万立方メートル(14年)と全国有数だが、天然秋田杉の供給が自然保護を目的に2013年3月末で停止されてからは他産地に対する優位性がなくなっている。産地間競争が激しさを増す中、人材育成や人工杉の販路・用途の拡大を目指して模索を続ける県内の林業・木材産業の動向を探った。(秋田総局・渡辺晋輔)

◎林業県の挑戦(下)新規用途

<床材活用を想定>
 住宅資材製造を手掛ける能代市の相沢銘木(網幸太代表)は昨年11月、中高層の木造ビル建材として注目を集める直交集成板(CLT)の生産設備を整えた。
 「新規だと30億〜40億円はかかる」(網代表)のを、既存設備の活用と中古機械の導入で6000万円に抑えた。整備に当たり、秋田県立大木材高度加工研究所(能代市、木高研)の助言を受けた。
 同社は本年度内の日本農林規格(JAS)の認証取得を狙う。秋田県産の杉材で縦4メートル、横1メートル、厚さ30センチのパネルを試験生産する。
 パネルは床材への活用を想定する。網代表は「新しい建材として広がりを見せており、先行きは明るい」と今後の展開に自信を見せる。木高研の林知行所長は「普及はこれからだが、マーケットの土俵に乗るためには生産態勢の準備が必要だ」と意義を説く。
 木高研は、県内の木材産業の資源依存型から技術立地型への転換を促すため、1995年に前身の組織が誕生した。県産杉の利用拡大を図る取り組みの一つが、大館市の伝統工芸品「曲げわっぱ」の原材料に人工林のスギを使う研究だ。
 製造業者でつくる大館曲げわっぱ協同組合(大館市)は、自然保護を目的に2013年3月末で供給が停止された天然秋田杉に代わる将来の原材料として、人工林に着目した。だが、人工杉は折れやすく、曲げ加工に向いた木を見つけるのが難しかった。
 木高研の足立幸司准教授(木材加工学)はハンマーでたたいて硬い木を識別する方法で、伐採前に適材を見分けることを可能にした。「人工杉でも、天然杉と遜色なく加工できた」(足立准教授)ことで、利用拡大への道を開いた。

<加工技術生かす>
 県内の木材産業は美しい木目が特長の天然秋田杉と共に繁栄してきた。林所長は「見た目が評価された時代は優位性があった」と振り返る。天然杉の供給が途絶えた現在、他県産と品質の差はない。
 「秋田杉の名前が全国で通用している間に、復活ののろしを上げなくてはいけない」。林所長は高度な加工技術の活用で、県産材の付加価値を上げる戦略を練る。
 県木材産業協同組合連合会理事長でもある相沢銘木の網代表は「秋田には、伝統工芸品から最先端のCLTまで木材加工技術がそろう。オール秋田で強みを発揮したい」と述べ、業界全体での県産材の利用拡大を目指す。

[直交集成板(CLT)]クロス・ラミネーテッド・ティンバーの略。板の繊維方向が直角に交わるよう互い違いに接着している。欧州で普及が進み、建築構造材や土木分野などで利用されている。国内では、2013年に製造規格となる日本農林規格(JAS)が制定された。


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2017年02月21日火曜日


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