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<タリウム事件>割れた鑑定 裁判員重い負担

名古屋大の元女子学生の初公判で、傍聴券抽選のため名古屋地裁前に並ぶ人たち=1月16日

 重罰か、無罪か−。元名古屋大女子学生の裁判員裁判は、最大の争点である責任能力を巡って鑑定医2人の判断が真っ二つに分かれる展開になった。どちらの見解を支持するかで結論は全く異なり、裁判員は重い判断を迫られる。
 2人はいずれも精神科医歴30年以上で、鑑定歴もある大ベテラン。模式図やグラフを盛り込んだ資料を大画面に映しながら、元名大生の人格や事件当時の精神状態を計約5時間にわたって解説した。
 ところが、導き出された結論は正反対。元名大生は発達障害に加え、そううつ病があると指摘されたが、「犯行時、自分の行動をコントロールできない程度に障害が影響したか」という肝心な部分で、2人の評価が分かれた。
 診断は被告の供述や過去のエピソードから精神症状の評価を積み上げつつ、生活歴や経過を勘案して実施される。プロセスに意見の違いが生じれば、精神科医の間でも診断結果は分かれることがある。今回の鑑定は事件から3〜4年後で、診断は困難を極めた。
 責任能力の評価はただでさえ高い専門性を伴う。裁判員が短時間で判断を迫られることについて、法曹関係者からの批判は根強い。医師の証言はどちらも説得力があったが、難解な医学用語も多かった。見て聞いて分かる裁判員裁判の理念からすると課題を残した。
 今回の事件は責任能力が最大の争点となり、特異な供述の数々が世間の注目を集めた。適切な結論を導けるかどうかは今後の裁判員裁判の試金石になる。
(報道部・斉藤隼人)


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2017年02月23日木曜日


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