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<東北経産局>中小支援策 利用働き掛け

中小企業の経営者らに生産性向上の重要性を説明した花巻信金のセミナー=花巻市

 東北経済産業局が本年度、信用金庫と協力して、経営支援が必要な中小企業を発掘する支援事業を始めた。企業が手を挙げるのを待つのではなく、支援する側から連携を働き掛ける独自の取り組みだ。国のさまざまな支援策が、必要な企業に行き届いていないという反省が背景にある。(報道部・保科暁史)

<改善への出発点>
 1月25日、花巻信金(花巻市)であった生産性向上セミナー。取引先企業の経営者ら約50人が出席し、共催した東北経産局の担当者が「『ステップ・ゼロ』からの支援プロジェクト」を説明した。
 ステップ・ゼロは、企業が「支援を受けてみよう」と決意する段階を指す造語。専門家の視点で経営課題を明らかにし、改善へのスタートラインに導くことを目指す。
 製造業の生産性向上が専門の柴田孝山形大教育・学生支援部教授が講師を務め、「課題は1社ごとに違う。専門家が現場を見て診断すれば、真の原因が見えてくる」とプロジェクトへの参加を呼び掛けた。

<事業拡大に挑戦>
 国の中小支援事業は昔からさまざまなメニューがあるものの、経営者の大半は支援策の存在を知らないことが多い。経営課題を打ち明けることを嫌い、外部の支援を受けることに消極的なケースも少なくない。
 光学機器など組み立ての伸和光機(花巻市)はこれまで、補助金や相談機関といった支援策を活用してこなかった。豊川進専務は「取引先との太いパイプがあり、それに頼っていた」と打ち明ける。取引先の海外移転に危機感を抱き、今回のプロジェクトへの参加を決めた。
 東北経産局は2014年度から、中小企業の経営者や企業支援の専門家に意見を聞き、ニーズの把握に努めてきた。担当者は「施策を用意して終わりでは、多くの企業に届かない。課題解決や事業拡大に挑戦していく風土を東北の企業に広げていく必要がある」と語る。

<コンサルと訪問>
 参加企業の発掘には信金のネットワークを生かす。花巻信金のほか、北上信金(北上市)、気仙沼信金(気仙沼市)、あぶくま信金(南相馬市)が協力。地元企業対象のセミナーで呼び掛けたり顧客に直接働き掛けたりした結果、合わせて約30社が参加を決めた。
 対象企業には、経営コンサルタントや大学教授ら専門家が信金の担当者と共に訪問。経営状況を調査して問題点を見極め、利用できる施策や支援機関を紹介する。1月中旬から順次訪問が始まっている。
 花巻信金の冨山剛審査部長は「何が課題なのかに気付けていない企業もある。専門家と一緒に考えることは、経営や業務を見直すいい機会になる。信金職員のスキルアップにもつなげたい」と話した。


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2017年02月23日木曜日


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