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<山村留学で育つ>共に挑戦 連帯強める

教育ボランティアの学生を迎え、群読を披露する児童たち=丸森町耕野小

 中山間地のへき地校、丸森町耕野小(児童14人)が山村留学の受け入れで変わろうとしている。現在、留学生は3人。都会から来た子は自然に親しみ、地元の子も刺激を受け、互いに成長する。過疎化と東京電力福島第1原発事故の影響で児童数が減る中、「学校の活性化を」と始めた取り組みを地域も支援する。

◎宮城・丸森 耕野小の歩み(4完)巣立つ春

 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」
 山村留学を受け入れる丸森町耕野小(児童14人)で20日、教育ボランティアの宮城教育大生と愛知教育大生の歓迎会があった。子どもたちは台本なしにせりふを述べる「群読」で平家物語を読んだ。
 群読は、作品の全体像を理解した上で仲間と協調しつつ、さらに自分の表現を込めて読み上げる。
 やや高度だが、耕野小は8年前から取り組み、毎年10月の「学びのフェスティバル」の目玉の一つにしている。昨年は18ページ、20分の長編童話「三(さん)コ」(斎藤隆介作)に挑戦した。
 耕作に適した土地がなく貧しい農家の次男、三男のために、巨人の三コが山に木を植え山仕事ができるようにする−。秋田が舞台だが、養蚕や林業で暮らしてきた耕野に重なる物語だ。
 自然の中で学びたいと埼玉県から転入した6年松永凜佳(りんか)さん(12)はフェスティバル当日の朝、教室の黒板に「最後まで力を出し切ってがんばろう」と書いた。

 松永さんは「耕野は人数が少ない分、1人の責任が大きい。私も前は『誰かがやってくれる』と思うことがあったけど、耕野の子はそうは考えない」と話す。
 「前に比べて怒らなくなった。周りに信頼される大人になりたい」。夢はアナウンサーで、私立中学に合格した。山村留学の1年間を振り返り、運動会とフェスティバルが印象深かったという。「みんなで協力できたから」
 少し高いハードルを共に乗り越え、児童らは連帯を強めた。
 「耕野は三コの話に似ている。人が優しく、みんなで助け合っている地域」と言うのは、6年一條美咲さん(12)だ。

 耕野で生まれ育ち、東京電力福島第1原発事故直後の春に入学。児童数がぐんと減り、さびしい思いをした。
 山村留学で新しい友達ができた。親友となった松永さんの実家に昨年11月、2人で遊びに行った。一條さんは「関東は初めてで、家も人も多かった。良い経験になった」と顔をほころばせる。
 双子の兄弟、6年八島秀君(12)と涼君(12)は春から、親の仕事の都合で仙台市に移る。秀君は「6年間、仲間に支えられた。人を助けられる優しい人になりたい」と話す。
 涼君は「山村留学の子から外の世界の話を聞けて面白かった。将来、フランスに行ってみたい」と前を向く。
 仲間で過ごした1年。間もなく、それぞれ巣立ちの春を迎える。(角田支局・会田正宣)


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2017年02月24日金曜日


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