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<秋田知事選>若者の人材育成急務

手作業で洋服を作る秋田ファイブワン工業の従業員たち

 任期満了に伴う秋田県知事選(3月23日告示、4月9日投開票)は、告示まで1カ月となった。最大の県政課題が、加速する人口減少だ。県人口は毎年1万以上減り、年内の100万割れが確実視されている。高齢化率も全国トップの33.8%(2015年)と上昇を続けている。人口減と少子化の影響が顕在化する県の現状と課題を探った。(秋田県知事選取材班)

◎迫る100万人割れ(中)産業振興

<求人過去最高に>
 昨年12月、航空機部品製造の山本精機(東京)が潟上市に新設した工場で操業が始まった。ジェットエンジンの心臓部に当たる部品の製造や航空機整備用機材の組み立てが進む。地元雇用を含む従業員5人でスタートした工場は、5年後に20人体制を目指す。
 「人口減の抑制には、産業振興が不可欠だ」。佐竹敬久秋田県知事(69)は一貫して主張してきた。
 県は、本社機能の県内移転や地元からの従業員雇用の際に補助金を出すなどして誘致企業への優遇措置を手厚くし、2013年4月以降、山本精機を含め30社を誘致した。中でも成長が見込める航空機関連は将来の産業の柱に位置付けており、同社の潟上進出は念願がかなった形となった。
 そうした取り組みもあり、県内の有効求人倍率は昨年12月現在で1.27倍と過去最高を更新した。
 日銀の野見山浩平秋田支店長は「県外企業であっても稼げる企業が地域に定着することが、県経済にとっては重要だ」と語り、この流れを評価する。

<短期間で退職も>
 一方で、県内の中小企業の間では、若者を中心に人手不足感が高まっている。「企業誘致が増えれば、若い人、特に理工・技術系の人材の奪い合いになりかねない」(野見山支店長)との指摘もある。
 県印刷工業組合理事長を務める秋田印刷製本(秋田市御所野湯本)の大門一平社長(61)も若者の人材確保に危機感を抱く一人だ。
 秋田市内の契約農家が生産したコメに贈答パッケージを付けて販売するなど幅広い事業を手掛ける同社は、10代、20代社員の定着率が比較的いい。だが、同業他社の中には、賃金の安さなどを理由に就職後6カ月未満で辞める若者が増えているという。
 大門社長は「大手企業と同等の労働条件、教育環境にすれば、中小企業は経営が立ち行かなくなる。でも、何もしないと優秀な人材を持っていかれる」と苦しい実情を明かす。
 県は、中小企業の魅力向上や底上げを図るため、「がんばる中小企業応援事業」などを通して補助金を出し、活性化を促している。
 「でも、補助金だけでは産業振興にはならない」。秋田市八橋で紳士服などを製造する秋田ファイブワン工業の佐賀善美社長(68)は、県の施策に物足りなさを感じている。
 「機械はあっても、縫う、アイロンをかける、といった洋服作りの基本は人の手だ」と佐賀社長。「県は、誰でもいつでも学べる職業訓練校を設置し、人材育成に本気で取り組んでほしい」と要望する。

[がんばる中小企業応援事業]秋田県内で1年以上の事業実績がある中小企業を対象に、新商品の開発や生産、機械導入などの事業費の一部を補助する。補助率は中小企業が3分の1以内、従業員20人以下の小規模企業やベンチャー企業は2分の1以内。補助上限額は製造業が1000万円、非製造業が500万円。


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2017年02月24日金曜日


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